NYの視点:米9月JOLTは雇用市場の強さを再確認も新たな問題が浮上
[15/11/13]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 経済総合
米労働省が発表した9月JOLT(求人労働移動調査)求人件数は552.6万件と8月の537.7万件から14.9万件増加した。市場予想の540万件を上回り、過去最高を記録した7月の588.8万件に近づいた。8月分も537万件から537.7万件へ上方修正され、米雇用統計で示された労働市場の強さが再確認された。
同指数は雇用統計以外で、広範な労働市場の状況を表すとして、イエレンFRB議長が特に注視している。米労働省が発表した10月の雇用統計では雇用の増加数が予想外に20万人台を回復。30万人近くの増加を示した。
イエレンFRB議長の雇用のたるみを分析するダッシュボードは9項目のうち4項目が危機前の水準に戻った。多くのFOMCメンバーが米国の労働市場はFRBの目標とする完全雇用を達成、もしくは一段と近づいたとの見解を表明している。退職率(Quitsrate)は1.9%と、8月と同水準で、まだ、危機以前の 2.1%水準には達していない。退職率の上昇は労働者の市場への自信の表れとして、イエレン議長が同指数の項目の中で特に注目している。
また、米連邦準備制度理事会(FRB)は新たなconundrum(解決困難な問題)も浮上。昨年の夏ごろから求人件数が企業の採用総数を上回ることがたびたびある。2000年から2014年7月まで、常に採用数が求人件数を上回っていた。企業が求めている人員が見つからない一方、長期失業者が増えることになる。また、賃金交渉の機会も減るため、賃金の上昇も望めないことになる。
■イエレンFRB議長の雇用たるみダッシュボード
◎危機前に比べ状態が改善 危機前の水準と比較
10月雇用者数(Nonfirm payrolls):27.1万人(9月13.7万人) 16.18万人(上回る)
10月失業率(Unemploynent rate):5.0%(7月)5.1% 5%(一致)
9月解雇率(Layoffs/discharges rate):1.2%(8月1.2%) 1.4%(下回る)
9月求人率(Job openings rate):3.7%(8月3.6%) 3%(上回る)
◎状態が危機前より依然悪い
9月退職率(Quits rate):1.9%(8月1.9%) 2.1%(下回る)
10月広義の失業率(U-6):9.8%(9月10.0%) 8.8%(上回る)
9月採用率(Hires rate):3.5%(8月3.6%) 3.8%(下回る)
10月長期失業率:42.0%(15週以上9月42.0%、前年同月47.5) 19.1%(上回る)
10月労働参加率:62.4%(9月62.6) 66.1%(下回る)
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