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NYの視点:米利上げの軌道、市場とFRBの見解が再び相違

注目トピックス 経済総合

米国の利上げのタイミングに関して、市場参加者と連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの見解が大きく相違していた。FOMCメンバーはたびたび、市場がFOMCの利上げペースを過小評価していることに言及。10月時点で市場は年内の利上げを30%しか織り込んでいなかった。しかし、10月、11月雇用統計が非常に強い結果となったことに加え、FRBが前回10月の連邦公開市場委員会(FOMC)での声明文を変更したことにより、市場はようやく年内の利上げを8割がた織り込んだ。

米連邦準備制度理事会(FRB)は予想通り年内の利上げに踏み切ったわけだが、公表されたスタッフの経済予測「Summary of Economic Projections(SEP)」によると、今後の利上げ軌道の見通しでもFRB関係者と市場参加者の間で見通しの大きな隔たりが存続することが明らかになった。四半期ごとに公表されるFRBスタッフ予測によると、メンバーは2016年末時点で政策金利であるFF金利が1.4%(9月1.4%)、2017年末時点で2.4%(前回9月時2.6%)、2018年末時点で3.3%(9月3.4%)をそれぞれ予想している。イエレンFRB議長は会合後の記者会見で、海外の経済が弱まるリスクは存続するものの、米国経済は総じて健全だと強気の見方を示した。

一方、シテイグループなどのエコノミストの一部は米国経済が景気後退に陥る可能性を警告。新債券王として知られるダブルラインキャピタルのジェフリー・ガンドラック最高経営責任者(CEO)も「コモディティー(商品)価格はあまりに弱く、世界の成長鈍化を示唆している」「ジャンク(ハイイールド)債市場も引き続き混乱しており不透明感が強い、この時期に利上げに踏み切る理由はない」、利上げは「間違い」との意見を主張している。米国の経済専門局CNBCが実施した調査によると、市場は2016年末のFF金利が0.9%、2017年は1.61%、今回の利上げサイクルの終了は2018年初旬で最終的な金利水準は2.6%と見ており、FRBスタッフ見通しに比べ0.8%ポイントほど低い。

2016年の経済が、金利軌道において果たしてFOMCの見通しを正当化することになるのか、それとも市場の慎重な見通しを正当化することになるのかが、今後のドル相場の行方にも左右してくる。



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