NYの視点:FOMC、世界経済や金融市場の展開を監視する方針=声明の注目点
[16/01/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 経済総合
米連邦準備制度理事会(FRB)が9年半ぶりの利上げを決定した昨年12月の連邦公開市場委員会(FOMC)以降、ダウ平均株価は7.7%下落、米10年債利回りも10%近く低下、米国の10-12月期の国内総生産(GDP)見通しも当初の2%成長から現時点はわずか0.8%成長へ引き下げられた。そんな中、米FRBは1月のFOMCで市場の予想通り金融政策の据え置きを決定した。声明の中では12月会合時に比べて若干ハト派姿勢も見られる。
まず、(1)景気の判断を前回の「経済は緩やかなペースで拡大している」との文言から今回は「2015年末に成長は鈍化した」へと修正。また、輸出の鈍化に加え、在庫も一段と鈍化したと加えた。
注目の(2)インフレ期待に関しては、前回の市場ベースのインフレ期待は「依然低い」から「一段と低下」に修正された。市場ベースのインフレ期待である5年物のブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)(普通国債とインフレ指数連動債(TIPS)の利回り格差)が2016年に入り一段と低下、過去最低水準で推移したため、インフレ期待に関する言及に注目が集まっていた。ただ、調査ベースのインフレ期待は前回の「小幅低下した」から「ほとんど変わらず」に修正されたため、相殺された形。
(3)見通しリスクは、「経済や労働市場活動の見通しリスクは均衡している」との文言が削除され、「下方リスクがより優勢となったことを示唆している」との見方が強まった。
また、(4)「世界経済や金融市場の展開を綿密に監視し、労働市場やインフレ、見通しリスクの均衡への影響を見直していく」との文言が加えられた。
さらに、(5)FRBは声明文の中から「インフレが目標値に向けて上昇する理にかなった自信がある」との文言を削除。
一方、タカ派ととれる言及としては、労働市場に関する言及で、「状況は一段と改善」「労働市場のリソースの不活用率は一段と低下」との判断。さらに、「経済は緩やかな利上げのみ正当化すると予想する」と繰り返し、引き締め姿勢の継続が再確認された。
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