NYの視点:最悪のシナリオ
[16/03/10]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 経済総合
商務省が発表した1月卸売在庫は前月比0.3%増と予想外に4ヶ月ぶりに増加した。12月分も0.1%減から横ばいに上方修正された。一方、卸売売上高は前月比1.3%減と、市場予想0.3%減を下回り、下落率は2015年11月以来で最大となった。12月分は0.3%減から0.6%減へ下方修正された。売り上げが減っている分、在庫が増えている。卸売売上高在庫比率は1.35と米国経済が景気後退(リセッション)時の2009年4月以来の高水準となった。
一部の調査によると、過去24年間で、卸売売上高在庫比率が1.35を上回ったことは前回の米国金融危機を受けたリセッションピーク時の一度だけ。卸売在庫と売上高の差は2015年12月の1436億ドルから1512億ドルと過去最大に拡大した。中でも自動車の売上高在庫比率は1.78と金融危機以降で最高を更新。2016年に入ってサブプライム自動車ローンの急増も際立っている。60日以上の自動車ローン債務不履行率も上昇。最新の四半期報告によると、全体の0.77%が少なくとも2ヶ月以上の不払いとなっている。個人の信用報告を作成するExperianの自動車アナリストは、米国消費者の健全性に一段と懐疑的な見方を強めている。住宅市場でも投機活動が住宅バブル崩壊前の高水準に戻している。
米労働省が発表した最新2月の雇用統計は労働市場が引き続き拡大している証拠となった。また、全米の製造業活動も回復の兆しが見られ、年内の追加利上げの確率も上昇している。しかし、同時に、米国経済への警戒感も存続する。新債券王とされるガンドラック氏は、短期的に景気後退を予想しないがグリーンライトも見られないと慎重な見通しを維持している。雇用やインフレでいくらか指標の改善が見られるとしても追加利上げは危険を伴うと警告した。
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