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NYの視点:英国のEU離脱への備え

注目トピックス 経済総合

英国では、欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票を23日に控えて、世論調査での離脱支持と残留支持は依然拮抗している。先週初め、大衆紙が離脱支持を表明したことをきっかけに世論調査では一時離脱支持が優勢となった。その後、先週後半に起こった残留派の野党・労働党の女性議員襲撃事件を受けて離脱支持派の勢いが後退。事件後初めて実施された最新の電話調査によると、残留支持が離脱支持を上回ったという。メール・オン・サンデー紙が17-18日に実施した世論調査では残留支持が45%と、離脱支持42%を上回ったと報じられている。

また、欧米における賭け屋ブックメーカー (bookmaker)のオッズから換算した英国のEU離脱確率は19日時点で30%と、15日時点の40%から低下。しかし、まだ予断を許せる状況ではない。ヘッジファンドマネジャーの間でも意見は分かれる。残留支持者は欧州金融の中心、世界3大金融市場のひとつであるロンドン市場が欧州の自由市場の恩恵を受けていることを理由として挙げた。英国がEUから離脱することを選択した場合、一部の欧州銀は本店を再びロンドンから大陸に戻すことになる。一方で、離脱支持者は、欧州の厳しい規制が足かせになっていると指摘している。

万が一、英国が離脱を選択した場合、まず、英国では、1)キャメロン首相が辞任し、2)増税、緊縮策を強化することになると見られている。また、為替市場では、3)ポンドやユーロが下落し、ポンド・ドルは1.30ドルかまたはそれ以下に下落する可能性、4)ドル・円は100円まで下落する可能性も指摘されているほか、5)安全通貨スイスフランに対しポンドやユーロの下落が予想されている。

ドル・円は100円を試す可能性もある。ただ、各国が「異例な事態」と判断し、主要中銀の協調介入が実施される可能性も指摘されている。また、英国の離脱を受けて日本銀行が追加緩和に踏み切る可能性もある。さらに、ポンドやユーロが急落した場合、ドルが上昇することになりドル買い、円買いと相殺される形にもなる。このため、ドル・円は急落後、反発する可能性も考えられる。

さらに、ユーロ圏では、6)市場の安定を維持するため短期的な資本規制が導入する可能性、7)スコットランドが再び独立の是非を問う国民投票を実施する可能性、が指摘されている。また、英国のEU離脱はラウンド1に過ぎなく、仮に英国がEUを離脱した場合、次にフィンランド、オランダ、イタリアなどが連鎖的に国民投票を実施することになると警戒されている。



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