NYの視点:日銀は-0.1%の当座預金金利をさらに引き下げるのか?
[16/08/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 経済総合
カンザスシティ連銀主催の経済シンポジウムで、日本銀行の黒田総裁は「マイナス金利の下限制約からはまだかなりの距離がある」と述べたことが市場関係者の間で話題になっている。9月20-21日に開かれる日銀金融政策決定会合で、現行-0.1%の日銀当座預金(政策金利残高に適用する金利)を-0.2%ないし-0.3%に引き下げることを決定するのではないか?との思惑が広がっている。
マイナス金利政策は、民間金融機関の収益を圧迫するとの批判が多い。日本銀行は市場関係者の批判に対して反論している。日銀のHPには次のような解説が掲載されている。「日本の金融機関は、リーマンショックでも傷ついていないし、とても健全です。去年もたくさん収益を上げています。日銀の預金でもマイナス金利にするのは一部だけにして、あまり銀行が困らないようにしました」、「マイナス金利にしたあと、住宅ローンの金利は下がって、10年固定で借りても1%以下になっています。銀行のローンセンターは大忙しだそうです。会社が借りるときの金利も下がっています。みなさんが家を建てようとしたり、会社が工場やお店を建てたりするときは有利になります。」等。
住宅ローン金利を押し下げることによって消費に回すお金が増えることは事実だが、所得増加の見込みがない状況では個人消費の増大に寄与するかどうか定かでない。報道によると、黒田総裁はマイナス金利導入後、企業が期間の長い社債を発行して資金を調達する例が増えていることを挙げているが、市場関係者の多くはそのような動きがさらに広がることは期待できないと考えている。
「マイナス金利の深堀り」は円安誘導が主な目的であるとの見方は依然として多く、通貨安競争を再び煽ってしまうことへの懸念を払拭することはできそうもない。
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