フィンテックはIT革命の第3のフェーズである【野口悠紀雄が語るフィンテックと仮想通貨(1)】「FISCO株・企業報」より
[16/10/05]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 経済総合
私は、フィンテック革命はIT革命の一環の最終段階だと考えています。
IT革命を遡って考えると、IT革命の第一番目のフェーズは「計算の革命」でした。つまり、それまで大型コンピューターで計算していたものが、コンパクトなパソコンで簡単にできるようになった。
第二番目のフェーズが「通信の革命」です。これは、それまで電話回線やデータ回線で行なわれていた通信がインターネットに変わった。
そして、第三番目のフェーズであるフィンテック革命は、IT技術が金融分野、とりわけ送金や決済の分野に使われることをその内容としています。
本来、金融や送金・決済は情報を扱っているので、もっと早くIT革命が起こってもよかった。ただ、金融分野はさまざまな規制があり、技術的に可能であるにもかかわらず、ITによるサービスが提供されてこなかったという側面があると思います。それがこの1〜2年で現実化しつつある段階だと捉えています。
金融はあらゆる経済活動の裏にあるわけですから、その影響は非常に大きいといえます。実はそれによって、これまで想像もつかなかった変化が起きてくる可能性もあるわけです。
例えばフィンテックによる送金コストの削減は、今までの経済活動を根底から覆してしまいます。一般に企業の送金コストは売上げの4%あまりを占めるほど大きなものです。そのコストがカットできる現実は、すぐそこまできています。
送金コストだけ見てもこれほど大きいことですし、フィンテック全体で見ると、あまりに変化が大きいために人々はまだその重大性をよく認識できないでいる、という状態なのかもしれません。
※本稿は実業之日本社より刊行されているムック「Jマネー FISCO 株・企業報 2016年秋冬号」の記事からの抜粋です。野口悠紀雄へのインタビュー全編「フィンテックの近未来と通貨革命」は、現在発売中の「Jマネー FISCO 株・企業報 2016年秋冬号」をご覧ください。
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