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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(2):◆トランプ相場の持続性を問う◆

注目トピックス 経済総合


〇債券からの資金シフトが原動力、持続性を問う〇

朝方5時59分の福島沖M7.3の地震、津波警報発動、その後震度3クラスの余震が6時台に3回続き、時間外取引でややリスク回避に傾いているようだが、今のところ基調変化とはなっていないようだ。週明けのNY市場は、債券相場が10年債利回り2.3%台で揉み合い、ドル高もやや一服感が出ているが、米株は主要3指数(ダウ、S&P500、ナスダック)が揃って最高値を更新した。この日の物色動向は、60億ドルの自社株買いを発表したフェイスブック(4.1%高)を中心にハイテク株、原油高でエネルギー関連株が中心。今までの牽引役だった金融株指数は0.31%高、堅調も伸び悩み感が出ている。

トランプ相場の原動力が、株式ETFへの大量資金流入だったことが示された。17日の投資情報会社リッパ?の週間ファンド資金動向(16日までの1週間)では米国に拠点を置く株式ETFに270億ドル、1996年の統計開始以来の過去最高水準の資金が流入。うち金融株ファンドへの流入は67億ドル。減少は新興国債券ファンド11億ドル、貴金属ファンド19億ドル、米地方債ファンド30億ドルなど。21日の調査会社トリムタブスの発表(17日までの8営業日)では、米株ETFへの資金流入額は過去最高の457億ドル。推定だが、債券ミューチュアル・ファンドからの資金流出は150億ドル、上場債券ETFからは5営業日で23億ドル流出したと見られる。債券市場からの資金シフトを中心に、新興国からの資金還流、待機資金の流入など、一斉に株式ファンド資金が集まったと考えられる。

フィッシャーFRB副議長が「政府が財政政策により生産性を押し上げることができれば、FRBの負担を軽減する一助になる」と、トランプ政策を後押しする姿勢を見せた。12月利上げは確率95%に上昇しており、「ドル高はFRBが実施する必要があることを阻害しない」との容認姿勢を示した。欧州の動向では、ECBが12月の定例理事会で資産買い入れプログラムの延長を決定する姿勢を示したこと、メルケル独首相が4選出馬を表明したことなどが現状追認の材料になったと思われる。

原油相場が大きく切り返した。21日のWTI相場は1.80ドル高の47.49ドル/バレル。10月28日以来の高値(ただし12月限の最終売買日)。30日のOPEC総会に向け専門家会合が始まったが、減産合意を巡って見方が交錯している。トランプ政権の閣僚が、イラン核合意反対、親イスラエルの姿勢が目立ち、イランを中心に危機感が高まっているとされる。また、トランプ氏は米国内のエネルギー投資拡大を主張しているが、テキサス州で推定埋蔵量原油200億バレル、天然ガス16億バレル(市場価格約100兆円)が発見された。需給バランスは複雑だが、OPECの危機感を高める公算がある。

全体として、トランプ政策の波及を見極めながらの高値圏攻防が続くと想定される。


以上



出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(16/11/22号)



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