【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(1):◆ロシアゲート疑惑第2ラウンド◆
[17/06/04]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 経済総合
〇米国情勢主軸も不透明材料に流れる公算も〇
朝から北朝鮮がミサイルを発射し、日本のEEZ内に落下、日本政府が今までにない強い表現で抗議したと発表された。対北朝鮮の緊迫感は徐々に薄れ、中国共産党大会が終わる秋まで「先送り」とのムードが漂っていたが、「暴走リスク」はなくなっていない。米軍は第3の空母ニミッツを派遣(カール・ビンソンとの交代説もある)と伝えられる。北朝鮮が、安倍首相が主導したとされる対北非難のG7声明に反発して行ったものかどうか不明だが、中国への締め付け要請が一段と強まろう。
今週はトランプ大統領初の外遊を終え、帰国後の「ロシアゲート」疑惑攻防再燃、それと関連する米経済統計、とりわけ週末の雇用統計、貿易収支が最大の焦点との位置づけ。それに対北朝鮮などの不透明材料が絡むかどうかになろう。なお、G7は何とか宣言をまとめたが、米独通商摩擦が激化する可能性が示唆された。トランプ大統領は今週にもパリ宣言離脱を表明する可能性があり、ドイツではF35調達の動き(エアバスの後継機開発遅れ)が伝えられる。
上級顧問・娘婿のクシュナー氏の「ロシアと秘密回線打診」が新たな疑惑として登場している。クシュナー氏はトランプ初外交の中東歴訪を演出し、対サウジ武器売却(1100億ドル相当)やブラックストーンのインフラファンドへの200億ドル投資をまとめたとされる。ブラックストーンのスティーブン・シュワルツマン共同創業者・CEOはトランプ政権のビジネス諮問委員会を率い、今回のサウジ訪問に同行している。ブラックストーンは13年以降、クシュナー・カンパニーに4件の事業で総額4億ドル超の融資を行っており、両者の結び付きは深いと見られる。ブラックストーン株はサウジの投資が発表された後、8%以上値上がりしており、クシュナー問題が広がると、ウォール街を揺さ振るリスクがある。大袈裟に言えば、トランプ攻撃メディアとユダヤ保守派の全面戦争にまで発展するのか否か。トランプ大統領はメディアの攻撃に対応する「作戦指令室」設置へ、と伝えられる。
米雇用統計(市場前提:失業率4.4%、雇用者数+17.6万人、平均時給上昇率前月比0.3%)は13-14日のFOMCでの利上げ観測に大きく影響する(その後の利上げシナリオにも)。26日の米10年物国債利回りは2.2500%。米1-3GDPの上方改定(FRBの弱含み一時的との見方を裏付けた)への反応は鈍く、投機筋の米債ロングのポジションに大きな変化が無いことを示唆する。元々、米金利はトランプ政権が目指す実質3%成長なら、2%の物価上昇率を足した名目成長率5%に近付くと想定されている。低過ぎる長期金利とギャップが拡大しているので、急波乱のリスクがある(裏目もあるが、投機筋の手仕舞いによる利回り急上昇は円安に働く公算がある)。
6月8日の英総選挙など、波乱要因は他にもあるが米国情勢が軸になろう。26日のドル建て日経平均は一時178.01ドル(終値は反落し176.98ドル)、180ドルの大台が視野に入って来た。178ドル×112円=19936円。少し振れれば2万円大台は指呼の範囲内と考えられる。
以上
出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/5/29号)
<CS>
朝から北朝鮮がミサイルを発射し、日本のEEZ内に落下、日本政府が今までにない強い表現で抗議したと発表された。対北朝鮮の緊迫感は徐々に薄れ、中国共産党大会が終わる秋まで「先送り」とのムードが漂っていたが、「暴走リスク」はなくなっていない。米軍は第3の空母ニミッツを派遣(カール・ビンソンとの交代説もある)と伝えられる。北朝鮮が、安倍首相が主導したとされる対北非難のG7声明に反発して行ったものかどうか不明だが、中国への締め付け要請が一段と強まろう。
今週はトランプ大統領初の外遊を終え、帰国後の「ロシアゲート」疑惑攻防再燃、それと関連する米経済統計、とりわけ週末の雇用統計、貿易収支が最大の焦点との位置づけ。それに対北朝鮮などの不透明材料が絡むかどうかになろう。なお、G7は何とか宣言をまとめたが、米独通商摩擦が激化する可能性が示唆された。トランプ大統領は今週にもパリ宣言離脱を表明する可能性があり、ドイツではF35調達の動き(エアバスの後継機開発遅れ)が伝えられる。
上級顧問・娘婿のクシュナー氏の「ロシアと秘密回線打診」が新たな疑惑として登場している。クシュナー氏はトランプ初外交の中東歴訪を演出し、対サウジ武器売却(1100億ドル相当)やブラックストーンのインフラファンドへの200億ドル投資をまとめたとされる。ブラックストーンのスティーブン・シュワルツマン共同創業者・CEOはトランプ政権のビジネス諮問委員会を率い、今回のサウジ訪問に同行している。ブラックストーンは13年以降、クシュナー・カンパニーに4件の事業で総額4億ドル超の融資を行っており、両者の結び付きは深いと見られる。ブラックストーン株はサウジの投資が発表された後、8%以上値上がりしており、クシュナー問題が広がると、ウォール街を揺さ振るリスクがある。大袈裟に言えば、トランプ攻撃メディアとユダヤ保守派の全面戦争にまで発展するのか否か。トランプ大統領はメディアの攻撃に対応する「作戦指令室」設置へ、と伝えられる。
米雇用統計(市場前提:失業率4.4%、雇用者数+17.6万人、平均時給上昇率前月比0.3%)は13-14日のFOMCでの利上げ観測に大きく影響する(その後の利上げシナリオにも)。26日の米10年物国債利回りは2.2500%。米1-3GDPの上方改定(FRBの弱含み一時的との見方を裏付けた)への反応は鈍く、投機筋の米債ロングのポジションに大きな変化が無いことを示唆する。元々、米金利はトランプ政権が目指す実質3%成長なら、2%の物価上昇率を足した名目成長率5%に近付くと想定されている。低過ぎる長期金利とギャップが拡大しているので、急波乱のリスクがある(裏目もあるが、投機筋の手仕舞いによる利回り急上昇は円安に働く公算がある)。
6月8日の英総選挙など、波乱要因は他にもあるが米国情勢が軸になろう。26日のドル建て日経平均は一時178.01ドル(終値は反落し176.98ドル)、180ドルの大台が視野に入って来た。178ドル×112円=19936円。少し振れれば2万円大台は指呼の範囲内と考えられる。
以上
出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/5/29号)
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