中国共産党によるオーストラリア政府への全面浸透 その手口とは
[17/06/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 経済総合
豪州メディアの共同調査で、少なくとも5人の中国系人物が政治界への巨額な政治献金と賄賂を通じて、同国の内政に干渉してきたことが明らかになった。このほど、大紀元の取材に応じた駐豪シドニー中国総領事館の元一等書記官でベテラン外交官・陳用林氏は、中国共産党によるオーストラリアへの浸透工作の詳細を語った。
元外交官に聞く中国共産党によるオーストラリアへの浸透工作
■中国共産党による豪政府への全面浸透
陳用林氏はこのほど、豪州主流メディアの報道では、中国共産党が豪政府への浸透工作の徹底ぶりを反映したと指摘。「中国共産党による豪州への浸透は政治、軍事、経済、文化の4つの分野に及ぶ。政府と民間の両方にも浸透工作を行っている。特に政府に対しては、連邦政府、各州政府と各市政府まで徹底的に工作を行う」と話した。
「議員や政府関係者には2グループに分かれる。1つのグループは、中国共産党とよく接触して利益を受けている人で、中国共産党とより親密な関係を望む人たちだ。ここには各政府機関の幹部と政治家が多く含まれ、普段、直接に中国当局、中国大使館・総領事館、中国共産党寄りの団体とやり取りしている」。
「もう1つのグループは、国益の侵害を危惧して、中国共産党と接触しない人々。彼らは特に国家安全保障が甚だしく脅かされていることを懸念している」。
このため、豪州メディアは中国共産党が莫大な資金を動かして、豪州政府の官僚や各党派の政治家に利益を与えてきたことで、同国政府の政策や戦略に大きな誤りが生じ、政治制度が揺さぶられていると批判した。
■中国共産党の黒いカネ オーストラリア議員の発言を左右
オーストラリア放送協会(ABC)によると、豪州最大野党労働党のサム・ダスティアリ上院議員は、中国人富豪・黄向墨の重要連絡人を務め、黄から受け取った賄賂で自らの弁護士費用や旅費などをまかなった。これが発覚し、同議員は昨年9月、消費者問題相など要職を辞任した。
また報道によると、昨年連邦議の選挙で、黄向墨は労働党に対して40万オーストラリアドル(約3400万円)の政治献金を行ったが、その後同党のステファン・コンロイ上院議員(影の国防相)が中国当局の南シナ海における軍事化を批判したのを受けて、政治献金を取りやめると脅かした。コンロイ議員が発言した翌日、ダスティアリ議員は黄とともに記者会見に現れ、中国当局の南シナ海政策を支持すると表明した。
陳用林氏は「ダスティアリ氏は中国当局からどのぐらいの資金を受け取ったのかはわからないが、しかし、その言論は労働党の外交政策と異なっており、豪州の国家利益に背いている」「これは豪政府にとってまずい状況だ。政府の体制運営に大きな問題が生じている」と指摘した。
ジュリー・ビショップ外相は報道を受けて6月13日に、「(昨年)ダスティアリ議員の態度がなぜ急変したのかが今わかった。議員はメディアに報道された40万オーストラリアドルのお金で、労働党の外交政策をゴミに変えた」と非難した。
■中国当局の女スパイの暗躍 夫はオーストラリアの元情報捜査員
2015年10月、豪州情報機関「保安情報機構」は中国当局の女スパイとみられる厳雪瑞(SheriYan)のキャンベラの自宅を捜査した。厳は、一部の中国系政治献金者と頻繁に接触し、献金者らを通じて豪政府の高官や政治家への接近を図った。
厳の夫、ローガン・ウレン氏は豪の元情報機関捜査官だ。警察当局が厳とウレンの自宅を捜査した際、豪政府の機密文書が発見され、機密漏えいの疑いでウレン氏を捜査している。
厳雪瑞は同月、周沢栄の私設秘書を務めていた時期にジョン・アッシュ国連総会の元議長に贈賄したとして、米国連邦捜査局(FBI)に逮捕された。
豪州の保安情報機構ダンカン・ルイス局長は、3主要政党と政府高官に送った機密書簡で、すでに豪州国籍に帰化した富豪の黄向墨と周沢栄に注意をうながしていた。局長によると、黄と周は、豪州の各政党に、総額670万オーストラリアドル(約5億6950万円)の資金を提供していたという。
しかし、腐敗議員はルイス局長の警告を無視し、黄と周からの政治献金を受け取っていた。報道によると、まだ与党になっていなかった「保守連合」は約90万オーストラリアドル(約7650万円)、労働党は20万オーストラリアドル(約1700万円)を受けていた。
昨年、豪メディアは、中国系政治献金者の数は30人以上がいると報道。陳用林氏は、30人のうちのほとんどは、中国共産党中央統一戦線部(以下、統戦部)傘下の「豪州平和統一促進会」のメンバーだと指摘している。
■中国へ行った後、態度を一変させた豪州の政治家たち
「政治献金だけではなく、中国当局の工作員らは政治家、特に上層部の政治家や政府高官への贈賄も行っている。その総額は政治献金よりも多い」と陳氏が述べた。
「贈賄をするには、豪の政治家を招待して中国への豪華旅行を手配したりするのも一つの方法だ。中国当局が直接表に出ないが、中国企業の関係者などに指示して、中国に到着した豪の政治家に売春婦を手配して、性的接待を行う。中国に行った豪の政治家や政府関係者の多くが帰国した後、中国当局への態度が一変し、中国共産党を支持するような言論が目立ってくるのだ。それは、中国当局から利益を受け取ったから、また中国に行きたいと思っているからだ」。
また陳氏は、中国当局は政治家らの親族に金品を贈ったり便宜を与えたりすることで、間接的にその政治家に収らんしようとしていると話した。政治家の家族の中で中国語を勉強した方がいれば、その人に対して、奨学金付きの中国留学の定員枠を優先に与える。
「例えば、労働党の中国系上院議員のヘンリー・トサン氏の子供が中国に留学しようとした時、中国大使館から、学費と生活費をすべて給付する留学の定員枠を一つ与えた。中国大使館は、毎年定員枠10人以上の完全給付型中国留学制度を設けている。豪州の政治家の家族であるなら、申請すればすぐにも承認されるだろう」。
(つづく)
(記者・駱亜、翻訳編集・張哲)
【ニュース提供・大紀元】
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元外交官に聞く中国共産党によるオーストラリアへの浸透工作
■中国共産党による豪政府への全面浸透
陳用林氏はこのほど、豪州主流メディアの報道では、中国共産党が豪政府への浸透工作の徹底ぶりを反映したと指摘。「中国共産党による豪州への浸透は政治、軍事、経済、文化の4つの分野に及ぶ。政府と民間の両方にも浸透工作を行っている。特に政府に対しては、連邦政府、各州政府と各市政府まで徹底的に工作を行う」と話した。
「議員や政府関係者には2グループに分かれる。1つのグループは、中国共産党とよく接触して利益を受けている人で、中国共産党とより親密な関係を望む人たちだ。ここには各政府機関の幹部と政治家が多く含まれ、普段、直接に中国当局、中国大使館・総領事館、中国共産党寄りの団体とやり取りしている」。
「もう1つのグループは、国益の侵害を危惧して、中国共産党と接触しない人々。彼らは特に国家安全保障が甚だしく脅かされていることを懸念している」。
このため、豪州メディアは中国共産党が莫大な資金を動かして、豪州政府の官僚や各党派の政治家に利益を与えてきたことで、同国政府の政策や戦略に大きな誤りが生じ、政治制度が揺さぶられていると批判した。
■中国共産党の黒いカネ オーストラリア議員の発言を左右
オーストラリア放送協会(ABC)によると、豪州最大野党労働党のサム・ダスティアリ上院議員は、中国人富豪・黄向墨の重要連絡人を務め、黄から受け取った賄賂で自らの弁護士費用や旅費などをまかなった。これが発覚し、同議員は昨年9月、消費者問題相など要職を辞任した。
また報道によると、昨年連邦議の選挙で、黄向墨は労働党に対して40万オーストラリアドル(約3400万円)の政治献金を行ったが、その後同党のステファン・コンロイ上院議員(影の国防相)が中国当局の南シナ海における軍事化を批判したのを受けて、政治献金を取りやめると脅かした。コンロイ議員が発言した翌日、ダスティアリ議員は黄とともに記者会見に現れ、中国当局の南シナ海政策を支持すると表明した。
陳用林氏は「ダスティアリ氏は中国当局からどのぐらいの資金を受け取ったのかはわからないが、しかし、その言論は労働党の外交政策と異なっており、豪州の国家利益に背いている」「これは豪政府にとってまずい状況だ。政府の体制運営に大きな問題が生じている」と指摘した。
ジュリー・ビショップ外相は報道を受けて6月13日に、「(昨年)ダスティアリ議員の態度がなぜ急変したのかが今わかった。議員はメディアに報道された40万オーストラリアドルのお金で、労働党の外交政策をゴミに変えた」と非難した。
■中国当局の女スパイの暗躍 夫はオーストラリアの元情報捜査員
2015年10月、豪州情報機関「保安情報機構」は中国当局の女スパイとみられる厳雪瑞(SheriYan)のキャンベラの自宅を捜査した。厳は、一部の中国系政治献金者と頻繁に接触し、献金者らを通じて豪政府の高官や政治家への接近を図った。
厳の夫、ローガン・ウレン氏は豪の元情報機関捜査官だ。警察当局が厳とウレンの自宅を捜査した際、豪政府の機密文書が発見され、機密漏えいの疑いでウレン氏を捜査している。
厳雪瑞は同月、周沢栄の私設秘書を務めていた時期にジョン・アッシュ国連総会の元議長に贈賄したとして、米国連邦捜査局(FBI)に逮捕された。
豪州の保安情報機構ダンカン・ルイス局長は、3主要政党と政府高官に送った機密書簡で、すでに豪州国籍に帰化した富豪の黄向墨と周沢栄に注意をうながしていた。局長によると、黄と周は、豪州の各政党に、総額670万オーストラリアドル(約5億6950万円)の資金を提供していたという。
しかし、腐敗議員はルイス局長の警告を無視し、黄と周からの政治献金を受け取っていた。報道によると、まだ与党になっていなかった「保守連合」は約90万オーストラリアドル(約7650万円)、労働党は20万オーストラリアドル(約1700万円)を受けていた。
昨年、豪メディアは、中国系政治献金者の数は30人以上がいると報道。陳用林氏は、30人のうちのほとんどは、中国共産党中央統一戦線部(以下、統戦部)傘下の「豪州平和統一促進会」のメンバーだと指摘している。
■中国へ行った後、態度を一変させた豪州の政治家たち
「政治献金だけではなく、中国当局の工作員らは政治家、特に上層部の政治家や政府高官への贈賄も行っている。その総額は政治献金よりも多い」と陳氏が述べた。
「贈賄をするには、豪の政治家を招待して中国への豪華旅行を手配したりするのも一つの方法だ。中国当局が直接表に出ないが、中国企業の関係者などに指示して、中国に到着した豪の政治家に売春婦を手配して、性的接待を行う。中国に行った豪の政治家や政府関係者の多くが帰国した後、中国当局への態度が一変し、中国共産党を支持するような言論が目立ってくるのだ。それは、中国当局から利益を受け取ったから、また中国に行きたいと思っているからだ」。
また陳氏は、中国当局は政治家らの親族に金品を贈ったり便宜を与えたりすることで、間接的にその政治家に収らんしようとしていると話した。政治家の家族の中で中国語を勉強した方がいれば、その人に対して、奨学金付きの中国留学の定員枠を優先に与える。
「例えば、労働党の中国系上院議員のヘンリー・トサン氏の子供が中国に留学しようとした時、中国大使館から、学費と生活費をすべて給付する留学の定員枠を一つ与えた。中国大使館は、毎年定員枠10人以上の完全給付型中国留学制度を設けている。豪州の政治家の家族であるなら、申請すればすぐにも承認されるだろう」。
(つづく)
(記者・駱亜、翻訳編集・張哲)
【ニュース提供・大紀元】
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