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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(4):◆売りから入った投資家◆

注目トピックス 経済総合

〇買い方様子見、売りから入った投資家がいる〇

昨日のドル建て日経平均安値は175.23ドル(終値176.93ドル)。まだ3営業日だが、円安が進んだ割に日経平均が上昇しなかったのは、ドル建て日経平均の下落が要因だ。6月は概ね180〜183ドルで推移し(高値は6月6日の183.84ドル)ていたが、6月末から軟調な動きとなり、今週ストンと下落した。一般に、実弾売りが出ていると解釈される。

売り主体は来週にならないと判明しない(本日発表予定の投資主体別売買動向は先週分)が、海外勢だとすると、米雇用統計前のポジション調整、米ハイテク株調整に合わせたポジション調整などが考えられる。ただ、為替が動いていない、否、円安推移なので、ヘッジをしていない中長期投資家の日本からの資金引き揚げの可能性も考えられる。この場合の有力候補は、断交問題を抱えるカタールなどのオイルマネーとなろう。

国内勢の公算がある。独断と偏見的に言えば、「森金融庁長官相場」の可能性がある。異例の3期続投となった森長官は、資産運用の健全化、長期個人資産形成体制の推進などで知られる。槍玉に挙がっているのは、リスクを十分考慮していない地銀の資金運用、タコ足配当に陥りがちな毎月分配型投信などだ。使い勝手が悪いと言われながらも、NISAなどの個人資産形成を促進する流れにある。

地銀はダイレクトの株式運用は制限されている。株式持ち合い的な売りがあったとしても極めて限定的であろう。資金運用は今までは債券偏重型だったと見られるが、マイナス金利などで苦境に陥り、先々の反転リスクを抱える。高利回りのREIT、EB債などのリスク商品、換金しやすい私募投信などの運用を膨らませてきたと言われる。森長官は運用リスクの総点検を求めているとされ、REITなどにも換金売りと見られる動きが出ているようだ。また、春頃にも、私募投信と見られる「投信」の株売り越しを指摘したことがある。

地銀はメガバンクのような優良貸出先の確保も難しく、海外展開も限られる。したがって業界再編の動きが活発だが、地域によっては独禁法に阻まれる。良いか悪いか分からないが、「道州制」が進んでおれば、もっと大胆な再編になっていた可能性があると考えると、変わらない日本、地方再生と言われながら再生できない地方の象徴のような存在になりつつある。金融界の運用難、規制の枠との攻防は、地銀業界に限ったものではない。大なり小なり、メガバンク、公的金融、保険業界なども抱える。その分、トランプ大統領の大胆な金融規制緩和に期待が集まったが、進展していない。

需給要因の一つと見れば、早晩、売り圧迫は一巡する。内外情勢の不透明感が強く、今週も都議選、北朝鮮ミサイルがあり、それを売り材料視する向きもあるかも知れないが、後講釈の感がある。週末の米雇用統計などで次の仕掛けが発生した場合は、飲み込まれる動きと考えられる。

以上


出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/7/6号)



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