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中国、高まる金融リスクに危機感 終身問責制度などを導入

注目トピックス 経済総合
 習近平国家主席と李克強首相が7月14〜15日に北京で開催された第5回全国金融工作会議に出席した。習主席は国務院の下に金融安定発展委員会が設けられると発表した。さらに、金融が実体経済にもっと資することができるはずだとも語った。5年一度の同会議で、国家主席が出席し演説したのは今回が初めて。習近平当局の、高まる国内金融リスクへの強い警戒感を見て取れる。

 また、会議では、地方政府の債務問題を追及し、負債を増加させた地方高官たちを厳罰化する「終身問責制度」の導入も決めた。

 習主席は今回の会議でまず、金融は実体経済を支えるためにあると述べた。金融と実体経済は本来、相互依存の関係にあるが、中国では両者が長い間、乖離していた。中国の経済学者の阮健弘氏は今年2月、レバレッジ率の上昇、実体経済の利益率の低下は、金融市場の実体経済に対する牽引力が弱いことを物語っていると指摘した。

 香港経済日報7月17日の記事で、近年の金融緩和政策によって、投資資金が実体経済ではなく、不動産市場や株式市場に流れたため、資産価格は急上昇した。そのため、地方政府と企業の債務は急増したほか、シャドーバンキング問題など様々な難題を引き起こした、と分析した。習当局はこうした金融市場が実体経済と大きく乖離している現状は今後、修正していくとの姿勢を示した。

■金融安定発展委員会の設立

 習近平国家主席は今回の金融工作会議で、金融業界への監督管理のため国務院内に「金融安定発展委員会」の設立を表明した。

 

 同委員会は、いままで各自で業界の監督を行ってきた「1行3会」(人民銀行、証券監督管理委員会、銀行業監督管理委員会、保険監督管理委員会)を総括する役割を果たし、習当局が金融監督を強化する狙いがあるとみられる。

 近年、証券、銀行、保険の3業界でそれぞれ大きな問題を抱えていた。2015年夏で起きた株式市場の暴落事件は、のちに「経済政変」と位置付けられた。保険業では、保険大手の安邦保険集団の呉小暉会長が資金運営に問題があったとして、今年6月に拘束されたばかり。銀行業では、不動産に巨額な融資を行い、多額な不良債権を抱えるなど、問題は山積している。

 昨年2月、証券監督管理委員会主席の肖鋼氏は免職処分となった。今年2月、銀行業監督管理委員会主席の尚福林氏は定年で退任した。また4月は、中国保険監督管理委員会主席(閣僚級)の項俊波氏が失脚した。金融当局である3会のトップはいずれも、交代した。

 香港紙・明報は、新たに設立された金融安定発展委員会は、1行3会を超える「スーパー監督部門」になると分析した。

■地方政府の責任者に「終身問責制度」を設ける

 習近平国家出席は今回の会議で再び、地方政府が抱える莫大な債務を言及し、地方政府の責任者に対して今後「終身問責制度」を導入すると表明した。

 多くの幹部が在任中、地元経済が大きく発展すれば昇進のチャンスを得られるとの思惑から、各地方政府は近年、無計画に不動産開発やインフラ投資を繰り返してきた。資金は、おもに地方政府系融資プラットフォームで金融商品を販売し、国民からの借り入れ金で賄っている。このやり方を繰り返していくうち、地方政府は莫大な負債を抱え、中国経済の大きな金融リスクとなった。

 負債を増やした離職幹部に対して、習主席は「地方政府債務急増を厳しくコントロールし、さかのぼってまで責任者を徹底的に追及していく」と厳罰化の方針を示した。

 習主席は今回の会議を含めて、過去1年間に少なくとも4回、公の場で地方政府に対して中央当局の政策を「必ず実行せよ」と要求している。中央と地方との間の不調和があらためて浮き彫りになった。

 中国問題専門家の華頗氏は以前、地方政府が財政面の減収を懸念し、または一部の幹部は癒着によって自らの得られる利益が損なわれると思い、中央当局の不動産市場抑制政策や、生産過剰能力の削減政策などに強く抵抗していると指摘したことがある。これによって、金融リスクはさらに増大させられた。

 習主席は今回の会議で、金融の安定維持は国家安全保障の一部だと発言し、金融リスクの抑制は当面、最重要課題となりそうだ。

(翻訳編集・張哲)

【ニュース提供・大紀元】




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