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「くりっく365、くりっく株365ディーラー説明会2017」に潜入

注目トピックス 経済総合
2017年8月4日(金)18時から、東京・丸の内の鉄鋼ビル8階にある株式会社東京金融取引所のセミナールームで、「くりっく365、くりっく株365ディーラー説明会2017」が開催された。主催したのは、東京金融取引所。約20名から30名のディーラーおよび関係者が参加した。

進行役を務める証拠金営業部マネージャーの村田美穂さん

■取引所為替・株価指数証拠金取引の概要

セミナーの最初に登壇したのは、東京金融取引所総務部調査役の岡田貴司さん。「取引所為替・株価指数証拠金取引の概要」について、説明を行った。
総務部調査役の岡田貴司さん

取引の基本概要としては、取引所為替・株価指数証拠金取引は、一定の証拠金(保証金)を取扱業者を通じて取引所に預託し、その数倍の想定元本が取り引きできる。原資産(現物)の受け渡しを伴わない、限日制(自動ロールオーバー)の差金決済取引、すなわち、金商法第2条21項2号に該当するデリバティブ取引である。そして、根付けが完全マーケットメイク方式で、いわゆるオークションではない。さらに、マーケットメーカー6社(コメルツ銀行、ゴールドマン・サックス証券、ドイツ証券、野村證券、バークレイズ銀行、三菱東京UFJ銀行)に対して、ビッドとオファーのレートを必ず出させていることが特徴である。

「必ずマーケットメーカーに買い気配、売り気配を表示させているので、取引高の多い、少ないにかかわらず、流動性は結果的に豊富である」

「くりっく365」での取扱い通貨ペアは25通貨ペア。なかでも、今年の10月には「メキシコペソ/円(MXN/JPY)」を上場する。メキシコペソは非常に人気のある通貨で、スワップポイントが非常に高い。トルコや南アフリカに比べると政情が安定している。

岡田さんは、「くりっく365ラージ」や「くりっく株365」の内容に触れて、さらに、市場規模についての解説に移った。

「2005年に上場した「くりっく365」の口座数は、約81万口座、証拠金残高は4472億円、年間取引数量(2016年度実績)は4359万3455枚(前年度比13%の増)で、1日平均すると15万9795枚の取引となる。「くりっく365」の取扱業者は現在、17社に及んでいる。一方、2010年に上場した「くりっく株365」は、口座数は約10万口座、証拠金残高は526億円、年間取引数量(2016年度実績)は、598万6612枚(前年度比28%の減)で、1日平均すると2万4008枚の取引となる。「くりっく株365」の取扱業者は現在、12社に及んでいる」
そういって、話を締めくくった。

■為替トレーディングのアドバンテージ

志摩力男さん
続いて登壇したのは、志摩力男さん。為替トレーディングの優位性から語りはじめ、為替と株取引の違いや、為替レートと株価の関連性と話を進めていき、最近の為替レートと株価の関係性については、こう語る。
「アベノミクス発動以降、『米ドル/円』と株価の動きはほぼ連動して動いてきた。しかし、2016年7月29日の日銀ETF購入増額決定以降、『米ドル/円』と日経平均の連動性は薄れた。最近の為替レートは、トランプラリーのピークから、米金利との連動性を強めている。アベノミクス、日銀金融効果剥落で、もはや日本の金融政策では何も変わらない。従って、『米ドル/円』の動きは、米金融政策、米長期金利次第である」

そして、為替相場を決める要因や、リスクオフ・リスオンについて話を進めていき、為替市場のメインプレーヤーでは、「大きな資金を羽後角長期プレーヤーの動きが、最終的には決定的に大きい。だから、中央銀行やSWF(ソブリン・ウエルス・ファンド)や、リアルマネー(投資信託や年金、生保など)の動きを注視することが重要だ」という。

さらに、AIによるマーケットメイクや、「米ドル/円」の需給分析、「仲値とは?」と解説を行い、次の焦点の通貨ペアは「ユーロ/米ドル」か? と期待を持たせる。その理由は、過去2年以上続いたもみ合い局面が終了する期待があるからだ。それは、ECB金融政策の変更と、ユーロの再評価が根底にある。チャートを見れば、「ユーロ/米ドル」は、1.05から1.15のレンジを抜けたので、1.15から1.25へのレンジへ移行するかどうかが、期待がふくらむ。

「ユーロ/米ドル」の長期チャートを見れば、1985年2月26日に0.6444、2000年10月26日に0.8228と2回、大きなボトムを打っている。こうした長期サイクルが信用できるかどうかは疑問だが、それでも、なぜこのサイクルが気になるかと言えば、同様な長期サイクルが、「米ドル/円」では上手くいっているからだ。
そういって、志摩さんは、「米ドル/円」の1971年以来の長期チャートを示しながら、解説を始める。

「カーターショックの直前の1978年10月30日の177.05円から、16年6カ月後の1995年4月19日には、79.75円と超円高(実効レートでは円最高値)で、安値をつけている。これほど長いサイクルが効くのかどうか、疑問でしたが、1995年4月19日から16年6カ月後の2011年10月31日は、見事に最安値の75.35円をつけました」

その後、1年間はもみ合い期間があり、なかなかラリーが始まらなかった。途中、78円から84円前後のラリーはあったが、途中で頓挫してしまった。本格的な「米ドル/円」の上昇は、2012年11月になってからで、阿倍政権の誕生を待たなければならなかった。

「ユーロ/米ドル」も、サイクル上のボトムは2016年6月で、その後、1年ぐらいはもみ合い期間があって、ラリーが始まっている。「米ドル/円」上昇のきっかけは安倍政権の誕生だったが、今回の「ユーロ/米ドル」の場合は、フランスのマクロン新大統領の誕生と、ECBの金融引き締めへの政策変更がきっかけとなるのかどうか。「ユーロ/米ドル」のトップのサイクルがもしあるとすれば、15年10カ月である。1992年円9月2日に1.4899をつけたあと、15年10カ月後の2008年7月15日には1.6038をつけた。その例でいけば、15年10カ月後の2024年5月には、1.7から1.8をつけるのだろうか?

さらに、「ユーロ/米ドル」を上昇させるファンダメンタルズとして考えられるのが、ドイツの金利である。為替のサイクルボトムが。2016年6月だったが、ドイツの10年金利のボトムも2016年7月初旬であり、ボトムラインが一致する。そこから、ECBの金融政策の変更によって、ドイツの10年金利が上昇を開始するとなると、「ユーロ/米ドル」もラリーを始める可能性がでてくる、といってもいいかも知れない。
志摩さんはそういって、今後の「ユーロ/米ドル」の動きに注目をすべきだと、口調を強めた。

志摩さんの基調講演が終わったあとは、インタートレードのディーリングシステムの解説や、日産証券のワンプラットフォームの説明があり、午後8時から懇親会が始まって、セミナーは和気藹々のうちに終了した。


【ニュース提供・エムトレ】




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