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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(1):◆米30年債に見る気迷い感◆

注目トピックス 経済総合
〇日柄調整過程、分岐点を探る〇

先週末の日経平均は、22757円まで上昇した後、急速に上昇幅を縮めた。結果的に、上下に逸脱しながら、22000〜22500円をコアゾーンとする揉み合い過程にあると受け止められる。11月前半まで(一般に高値は終値ベースで記録され、7日22937.6円が高値、ザラ場ベース高値では9日の23382.185円)の上昇ピッチが早かったため、その反動が出易いが、上昇トレンドを崩すほどの調整には至っていない。3000円幅のゾーン(今回の場合は19000〜22000円)を突き破った場合、次のゾーン(同、22000〜25000円)も一気に駆け上がったのは、初期波動の10000〜13000円ゾーンしかなく、中間点(同、23500円)までで一旦止まるパターンが踏襲されている。22000〜22500円をコアゾーンとする揉み合いは、一般的に「22000円台固めの動き」と評される。

上昇が止まった一因は、米株の上昇ピッチが鈍っているためと考えられる。逆に、総選挙結果を受けた10月23日以降のラリーは、やや強引な短期筋が米株から日本株にシフトしたためと見ることもできる。荒稼ぎしようとするグループは売り抜けにSQなどの売買が膨らむ場面を利用しがちだ。12月メジャーSQに向けて、次の動きにどう出るか(上で稼ぐか、下で稼ぐか)、方向性を探る局面にある。

米株上昇のシナリオは生きていると考えられるが、気迷い材料は多い。減税法案は下院を通過したものの、上院での難航、上下両院の違いの調整などを課題視する動きがある。NAFTA(北米自由貿易協定)交渉に行き詰まり感があり、トランプ大統領の言うような貿易赤字の抜本改革が出来るか、不透明感がある(アジア外交も、中国の一時的な大量買い付け案にとどまった)。ドルは買いと売りの波が交互に来るが、現在は7週連続(11/14の週)売り越しが減少し、主要6通貨に対する売り越し額は6.43億ドルに減少した。言わば、中立状態(円ショートは13年12月以来の13万5999枚に膨らんでいるので、解消圧力を受け易い)。

米30年国債利回りが典型的だ。先週は13日の2.869%から17日2.7785%に低下した。2年債は12月利上げ観測から一時1.73%、9年ぶりの高水準にあり、金利平準化(イールドカーブのフラット化)が進んでいる。(間で10年債は2.3%台推移、先々週に上昇したドイツ国債利回りは低下)米経済の先行きに、もう一つ強気になれないムードが投影されている印象だ。30年債の利回りが3%を超えて来ると、住宅ローンへの警戒、米財政への圧迫感が強まるため、なかなか上昇しない30年債利回りは好ましい面もあるが、連続利上げによって米経済にネガティブな見方が強まる恐れを示唆する(30年債利回りが低迷していることは、住宅・不動産バブルのような事態=経済過熱に向かっていないことも示唆する)。

先週、ウォールマートの好決算で、小売株が一斉に上昇する場面があったが、個人消費回復期待と言うより、トイザらス破綻などで積み上がっていた売りポジションの巻き戻しの観がある(したがって翌日には反落)。年末商戦は感謝祭翌日の24日から始まる。全米小売業協会の予想は前年比4%増見通しのようだが、ネット販売シフト、百貨店などの苦戦が予想されている。個人消費動向が、米経済先行き見通しに強気ムードをもたらすかどうかの一つの要因になると考えられる。

以上

出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/11/20号)



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