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コラム【アナリスト夜話】:自動運転で一変する不動産業界(マネックス証券チーフ・アナリスト大槻奈那)

注目トピックス 経済総合
日本時間の15日(現地14日)から、北米モーターショーが開催されます。話題の一つは、GMが先行公開した「レベル4」、つまり、原則的に人手のいらない自動運転車です。

更に、今年前半には、グーグル傘下のウェイモが、完全無人運転の「レベル5」のライドシェア実験を行う予定です。日本も「レベル5」の2025年実用化を目指します。まだ規制が不透明ですが、技術革新のピッチは極めて急速です。

こうした動きに、自動車やIT各社に次いで大きな影響を受けるのが、不動産業界だと思われます。まず、いつでも車がお迎えに来てくれるなら、現在の住宅の最大の要件である「駅から徒歩○分」は今ほどの価値はなくなるでしょう。また、夜間は遠方の駐車場に止めておけばいいので、駐車場付が魅力の「ミニ戸建」などの物件は、一定のニーズを失うでしょう。

一方、既存のマンションへの影響は深刻です。首都圏のマンションの約6割に駐車場が設置されていますが(2012年SUUMO調べ)、将来的には、マンションの駐車場は大幅に値下げしない限り空きだらけになりかねないでしょう。

更に、私営の駐車場スペースの活用方法も注目されます。東京都下の有料駐車スペースは2010年から2015年の5年で15%増と、増加傾向にあります。直近データによれば、27万台分、推定250万m2程度で、大規模なタワマンでも250棟建てられる広さです。これらの一部は転用を強いられ、マンション用地等の供給源となるでしょう。

このように完全無人走行が実現すれば、膨大な駐車スペースが解放されることで、現在の不動産の価値をさまざまな形で変化させるでしょう。これは居住可能面積が小さい日本では、他国以上に大きな影響となりそうです。

まだまだ先の話のようですが、レベル5の始動まであと7年しかありません。これからの不動産購入には、無人運転の影響を少し念頭においた方がいいかもしれません。

マネックス証券チーフ・アナリスト大槻奈那
(出所:1/15配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)




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