【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(3):◆現状維持策の功罪◆
[18/01/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 経済総合
〇安倍首相の現状枠組み維持策目立つ〇
日銀は現状の緩和策を維持した。黒田総裁は、緩和縮小は「検討 局面にない」と一蹴。後任については持論の国際対応を条件に述 べるにとどまり、言質を与えなかった。日本の国債利回りは軟化 したが、面白い事に、米債利回り低下の要因に挙げられた(ロイ ター)。欧州の出口論も後退した。先々の変化はともかく、当面の 株高構造には好ましい条件と考えられる。
なお、ロイター企業調査で、「黒田続投」を望む声は68%、続投す べきでない32%。続投論では「市場の安定」を望む声と「責任をも って出口政策へ誘導」との責任論に分かれる様だが、おそらく市場 でも7割程度が続投を望む姿勢と考えられる。
安倍首相の施政方針演説、経済財政諮問会議など、政治が動く時間帯 に入っている。一言で言えば、現状維持のリベラル的な姿勢が目立つ。 朝方報じられている「平昌五輪開会式出席の方向で検討」も、文政権 に厳しく対応するより、日韓関係の維持姿勢を取るものと思われる。
安倍首相は何故、リベラル姿勢なのか?本音は本人しか分からないだ ろうが、二つの見方がある。一つは政治的に、自分より「右」はいな いので、「左」の支持層取り込みに主眼がある点。左の勢力が政策論争 をできず、「モリカケ」のスキャンダル探しや「安倍政治を許さない」 のイメージ作りしかできない状況は、ある意味、追い込まれた立場を 示す。
もう一つは、少子高齢化の深刻さで、今、既存枠組みを壊してしまう と取り返しがつかなくなる恐れを懸念しているとの見方。プライマリー バランス黒字化の姿勢を変えず、消費増税の方向に進み、他の増税策も 容認しているのは、財務省方針を抜本的に崩す姿勢にないことを示す。 勢い、政策は「一億総活躍」など、女性や高齢者労働力の活用に主眼が 向く。ある程度の経済成長を維持するために、現状のアジア情勢も緩や かな転換、綱引き姿勢を維持し、対中、対韓姿勢の抜本改革に踏み込ま ないことになる。ロシアとの粘り強い交渉姿勢にも表れているとの見方。 グローバル経済化を推進するリベラル的な姿勢になる。 保守論陣が安倍首相を応援する一方、安倍首相は世襲議員らしく、戦後 体制勢力の取り巻きに囲まれている。例えば、岸信介元首相以来の統一 教会系勢力などとの繋がりが指摘され、日韓関係に表れるとの見方になる。
「ブルームーン」による「月の魔力」は増しているようで(明日は上弦の 月)、昨日はアラスカM7.9、インドネシアM6.1の大地震、群馬・本白根 山噴火(14年の御嶽山の類似型、事前予測できず)、フィリピン・マヨン 山大噴火など、大雪被害はアフリカ・モロッコに広がり、何となく不安心 理を呼び込みやすい地合いにある。
安定志向の現状維持策は、こういう局面では一定の効果を持つと考えられ るが、支持層の中に批判の種を蒔くことになる。事態の流動化要素に目配 りしながらの展開になろう。
以上
出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/1/24号)
<CS>
日銀は現状の緩和策を維持した。黒田総裁は、緩和縮小は「検討 局面にない」と一蹴。後任については持論の国際対応を条件に述 べるにとどまり、言質を与えなかった。日本の国債利回りは軟化 したが、面白い事に、米債利回り低下の要因に挙げられた(ロイ ター)。欧州の出口論も後退した。先々の変化はともかく、当面の 株高構造には好ましい条件と考えられる。
なお、ロイター企業調査で、「黒田続投」を望む声は68%、続投す べきでない32%。続投論では「市場の安定」を望む声と「責任をも って出口政策へ誘導」との責任論に分かれる様だが、おそらく市場 でも7割程度が続投を望む姿勢と考えられる。
安倍首相の施政方針演説、経済財政諮問会議など、政治が動く時間帯 に入っている。一言で言えば、現状維持のリベラル的な姿勢が目立つ。 朝方報じられている「平昌五輪開会式出席の方向で検討」も、文政権 に厳しく対応するより、日韓関係の維持姿勢を取るものと思われる。
安倍首相は何故、リベラル姿勢なのか?本音は本人しか分からないだ ろうが、二つの見方がある。一つは政治的に、自分より「右」はいな いので、「左」の支持層取り込みに主眼がある点。左の勢力が政策論争 をできず、「モリカケ」のスキャンダル探しや「安倍政治を許さない」 のイメージ作りしかできない状況は、ある意味、追い込まれた立場を 示す。
もう一つは、少子高齢化の深刻さで、今、既存枠組みを壊してしまう と取り返しがつかなくなる恐れを懸念しているとの見方。プライマリー バランス黒字化の姿勢を変えず、消費増税の方向に進み、他の増税策も 容認しているのは、財務省方針を抜本的に崩す姿勢にないことを示す。 勢い、政策は「一億総活躍」など、女性や高齢者労働力の活用に主眼が 向く。ある程度の経済成長を維持するために、現状のアジア情勢も緩や かな転換、綱引き姿勢を維持し、対中、対韓姿勢の抜本改革に踏み込ま ないことになる。ロシアとの粘り強い交渉姿勢にも表れているとの見方。 グローバル経済化を推進するリベラル的な姿勢になる。 保守論陣が安倍首相を応援する一方、安倍首相は世襲議員らしく、戦後 体制勢力の取り巻きに囲まれている。例えば、岸信介元首相以来の統一 教会系勢力などとの繋がりが指摘され、日韓関係に表れるとの見方になる。
「ブルームーン」による「月の魔力」は増しているようで(明日は上弦の 月)、昨日はアラスカM7.9、インドネシアM6.1の大地震、群馬・本白根 山噴火(14年の御嶽山の類似型、事前予測できず)、フィリピン・マヨン 山大噴火など、大雪被害はアフリカ・モロッコに広がり、何となく不安心 理を呼び込みやすい地合いにある。
安定志向の現状維持策は、こういう局面では一定の効果を持つと考えられ るが、支持層の中に批判の種を蒔くことになる。事態の流動化要素に目配 りしながらの展開になろう。
以上
出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/1/24号)
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