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【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(1):◆日米の金融決定会合待ち◆

注目トピックス 経済総合
〇日米の金融政策待ち、中国の不気味な静けさ〇
30日の株式市場は、日銀金融政策決定会合、米FOMCを睨んだ小動きの中、日本では日経平均調整、米国ではハイテク株調整が続いた。
30日のNT倍率(日経平均/TOPIX)は12.75倍に低下した。直近ピークは13日の13.06倍。NT倍率が顕著に上昇したのは6月以降で、6月4日の12.66倍が起点。日経平均を押し上げてきた値がさ株の調整も8合目ぐらいまで来たかなぁと言う印象。

米株のハイテク株調整で、ナスダックは3営業日連続で1%超の下落。3年ぶりだそうだが、3年前は15年8月のチャイナ・ショック時。フェイスブック2.2%安、ネットフリックス5.7%安などが下落をリード。中間選挙前は荒れるジンクスも指摘されているようだ。

その中国が不気味なぐらい静かだ。29日にドイツ政府が中国・煙台市台海集団による精密機械メーカー・ライフェルト・メタル・スピニングの買収を阻止すると伝わった。宇宙ロケット技術流出を阻止するためとされる。その直前、米政府はカリフォルニア州で15-16日に開催された「宇宙空間研究委員会(COSPAR)」に中国代表団全員のビザを発給しなかった。6月11日から実施し始めた中国人留学生と研究者へのビザ発給制限が厳格に運用されているようだ。元米国籍中国人も含まれる。

中国に最も大きな衝撃を与えたと見られるのは、25日に行われたパキスタン下院選挙。与党「パキスタン連盟」が1/3となる大惨敗、第3位だったPTI(パキスタン正義運動)が大躍進した。率いるのは元クリケットの英雄・イムラン・カーン。訴えたのは「汚職追放」、「イスラム回帰」、「外国からの借金を無くそう」の三つ。
パキスタンでは現在、570億ドル規模のCPEC(中国・パキスタン経済回廊)を建設中。「一帯一路」の目玉案件となっている。中国は「友好関係維持」の声明を出してはいるが、気が気でない状態と思われる。PTIのバックはパキスタン陸軍と見られ、インドや米国なども情勢注視の状況にあるようだ。

米・EU合意で、対中攻防が前面に出てくると見られること、EUなども中国批判を強めて来るであろうと見られていることなど、中国関連株への警戒感は依然続いている。関税分値上げなど、通期利益予想を上方修正した米建機大手キャタピラー株も2%安となった。また、中国が加工肉追加関税を表明しており、業績下方修正となったタイソン・フーズは7.6%安。8月上旬と見られる中国・北戴河会議を前にした緊迫感も重石になっていると考えられる。


以上


出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(18/7/31号)



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