【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(3):◆米経済順調を追認◆
[18/09/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 経済総合
〇米経済順調、不安感後退〇
27日の講演で、パウエルFRB議長は「今後1-2年でリセッションの可能性が高まっていると考える理由は無い」と、米経済の順調ぶりを改めて強調した。内容的には、段階的利上げ継続方針を示した前日のFOMC声明と変わらないが、一部の懐疑的見方を押しやる格好となった。短期金利先物市場は12月利上げと来年2回の利上げ(FRBは3回、20年にさらに1回を示す)を織り込んでいるにとどまる。
この日発表となった4-6月期GDP確報値は前期比+4.2%の速報値と変わらず、8月耐久財コア受注は前月比0.5%減(5ヵ月ぶりマイナス)となったものの、前年同月比は+7.4%。米中貿易戦争がサプライチェーンの障害になるとの懸念は和らいだ。設備投資は16年第4四半期以降伸び続けており、今年第3四半期もGDPの押し上げ要因になると見られている。航空機を含む全体の耐久財受注は前月比+4.5%、民間航空機の+69.1%急伸が押し上げた。
8月の中古住宅販売仮契約数は前月比-1.8%。在庫不足や物件値上がりが影響したとされる。7月のケース・シラー住宅価格指数は20都市圏で前年同月比+5.9%、前月の+6.4%から鈍化したが、過熱感は無く、家計の富を押し上げ消費を下支えする状況が続いているとの見方。第2四半期の米家計純資産は106.9兆ドル、前年同期比+2.2兆ドル。17年の米中間層家計所得は実質ベースで+1.8%、貧困率は12.7%から12.3%に低下している。また、9月の米自動車販売は前年比6%減との観測が出ている。ハリケーン被害地域で12%程度落ち込むと見られる。年率換算は1740万台程度で前年同月が1810万台と05年以来の高水準だったことも影響する。それでも、年初は金利上昇などでもっと落ち込むと見られていたので、年間は前年比横ばい圏に上方修正。
経済への安心感が米株の主力株買いにつながり、アップルやアマゾン、アルファベット(グーグル)などが1-2%高。ドルも上昇した。昨日後場、東京市場の9日ぶり反落を仕掛けた(ロイターによると海外短期筋の先物利益確定売り)向きにとっては、早仕掛けとなった印象がある(東証空売り比率は42.0%に上昇。直ぐに売って来る感がある)。
日本市場で話題となった日米通商交渉(米国ではほとんど話題になっていない様だ)は、口に出しては言えないが、実質安倍政権の成功。安倍-トランプ、麻生-ペンス、茂木-ライトハイザーの3段重ね交渉は時間が掛かる仕組みで、それを嫌った米側が2国間交渉のスタイルを維持するために、物品交渉に譲歩した格好(サービスを含まないので、車検制度とか、右ハンドルとか問題にならない)。日本と交渉している形を維持したい(対欧州などで)ものと思われる。米中貿易戦争激化の「漁夫の利」との見方もあり、この「漁夫の利」探しが強まる可能性もある。フェイクとは言えないが、懸念論ばかり伝えるメディア論調を鵜呑みにできないと思われる。米経済順調を大前提にした日本株の米株追随(キャッチボール)が基調と考えられる。
出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(18/9/28号)
<CS>
27日の講演で、パウエルFRB議長は「今後1-2年でリセッションの可能性が高まっていると考える理由は無い」と、米経済の順調ぶりを改めて強調した。内容的には、段階的利上げ継続方針を示した前日のFOMC声明と変わらないが、一部の懐疑的見方を押しやる格好となった。短期金利先物市場は12月利上げと来年2回の利上げ(FRBは3回、20年にさらに1回を示す)を織り込んでいるにとどまる。
この日発表となった4-6月期GDP確報値は前期比+4.2%の速報値と変わらず、8月耐久財コア受注は前月比0.5%減(5ヵ月ぶりマイナス)となったものの、前年同月比は+7.4%。米中貿易戦争がサプライチェーンの障害になるとの懸念は和らいだ。設備投資は16年第4四半期以降伸び続けており、今年第3四半期もGDPの押し上げ要因になると見られている。航空機を含む全体の耐久財受注は前月比+4.5%、民間航空機の+69.1%急伸が押し上げた。
8月の中古住宅販売仮契約数は前月比-1.8%。在庫不足や物件値上がりが影響したとされる。7月のケース・シラー住宅価格指数は20都市圏で前年同月比+5.9%、前月の+6.4%から鈍化したが、過熱感は無く、家計の富を押し上げ消費を下支えする状況が続いているとの見方。第2四半期の米家計純資産は106.9兆ドル、前年同期比+2.2兆ドル。17年の米中間層家計所得は実質ベースで+1.8%、貧困率は12.7%から12.3%に低下している。また、9月の米自動車販売は前年比6%減との観測が出ている。ハリケーン被害地域で12%程度落ち込むと見られる。年率換算は1740万台程度で前年同月が1810万台と05年以来の高水準だったことも影響する。それでも、年初は金利上昇などでもっと落ち込むと見られていたので、年間は前年比横ばい圏に上方修正。
経済への安心感が米株の主力株買いにつながり、アップルやアマゾン、アルファベット(グーグル)などが1-2%高。ドルも上昇した。昨日後場、東京市場の9日ぶり反落を仕掛けた(ロイターによると海外短期筋の先物利益確定売り)向きにとっては、早仕掛けとなった印象がある(東証空売り比率は42.0%に上昇。直ぐに売って来る感がある)。
日本市場で話題となった日米通商交渉(米国ではほとんど話題になっていない様だ)は、口に出しては言えないが、実質安倍政権の成功。安倍-トランプ、麻生-ペンス、茂木-ライトハイザーの3段重ね交渉は時間が掛かる仕組みで、それを嫌った米側が2国間交渉のスタイルを維持するために、物品交渉に譲歩した格好(サービスを含まないので、車検制度とか、右ハンドルとか問題にならない)。日本と交渉している形を維持したい(対欧州などで)ものと思われる。米中貿易戦争激化の「漁夫の利」との見方もあり、この「漁夫の利」探しが強まる可能性もある。フェイクとは言えないが、懸念論ばかり伝えるメディア論調を鵜呑みにできないと思われる。米経済順調を大前提にした日本株の米株追随(キャッチボール)が基調と考えられる。
出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(18/9/28号)
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