【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(4):◆米株続急落◆
[18/10/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 経済総合
〇不安心理増幅、落ち着き処を探る〇
米株は予想以上の続落となり、NYダウとS&P500指数は年初来マイナス圏に沈み、ナスダック指数は調整相場入りと伝えられた。「世界的なリスクオフトレード」とされ、弱気材料のみに反応する格好となっている。今のところ、為替や債券相場への影響は限定的で、パニック的な状況には陥っていない。米中間選挙に向けて、「トランプ政策の失敗」を示すための揺さ振りとの見方があったが、果たして、その範囲内で収まるのかどうか、剣が峰に差し掛かった印象だ。クリントン、オバマ、ソロス家への不審小包送付のおまけまで出ている。
中国当局がスイス大手銀UBSの行員の出国を阻止したと伝えられた。情報を受け、シティ、スタチャ、パリバ、JPモルガンなどが22日までに相次いで、社員の訪中延期、自粛通知を出したと言われる。
出国を阻止されたUBS女性行員は富裕層資産管理部門の顧客担当マネージャーで、中国地方当局高官との面談を求められたと言う。UBSは「全社員が中国への入出国を自由にでき、通常業務を行えることを確認した」と声明を出した様だが、約43兆円規模にあるアジア富裕層資産管理業務への影響が懸念されたようだ。米中摩擦と言うより、中国ビジネスそのもののリスクとの受け止め。
JPモルガンのアナリスト等が24日付で「パッシブ運用の投資家に気を付けた方が良い」との警告を出した。世界のパッシブファンドは7兆4000億ドル(約830兆円)の規模にあり、次のリセッション(景気後退)期に起こり得る大幅な株安を増幅させるとの見方を示した。一般にパッシブファンドはトレンドフォローで運用され、上げ下げを増幅すると見られている。米経済がリセッションに向かっているとの見方はまだないが、世界情勢(中国、中東、欧州)に押される懸念が出始めている。
旧ソ連の崩壊は、米国との軍拡競争(スターウォーズ)に敗れ、原油安で財源を失い、不良債権(東欧への援助)に圧し潰されたためと看做される。今回の米中冷戦では、財源(対米貿易黒字)の締め付けが始まり、「一帯一路」と言うより国内不良債権(不動産及び国営企業)が圧し掛かり、米国のINF(中距離核戦力廃棄条約)破棄で軍拡競争に巻き込まれる(条約相手はロシアだが、破棄理由は中国と見られる)と、条件が揃ってきたと見られている。
中国経済崩壊が加速するとの見方になり、その警戒感が金融市場(今のところ株式市場)を揺さ振り始めたとの受け止めになる。その中で7年ぶりとなる安倍訪中が行われるが、市場では材料視されていない。中国の方向転換のキッカケとなるか、表面上の合意より、実質的な転換材料を探りたい。そう言えば、秋の共産党大会のアナウンスメントは未だなされていない。11月G20の場とされる米中首脳面談などへの橋渡しなども注目される。
日銀は昨日で今月10回目のETF購入を行った。累計7030億円で、日銀がETF購入を止めるとの議論は雲散霧消した。愚直な安定化策も支えになると考えられる。
出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(18/10/25号)
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米株は予想以上の続落となり、NYダウとS&P500指数は年初来マイナス圏に沈み、ナスダック指数は調整相場入りと伝えられた。「世界的なリスクオフトレード」とされ、弱気材料のみに反応する格好となっている。今のところ、為替や債券相場への影響は限定的で、パニック的な状況には陥っていない。米中間選挙に向けて、「トランプ政策の失敗」を示すための揺さ振りとの見方があったが、果たして、その範囲内で収まるのかどうか、剣が峰に差し掛かった印象だ。クリントン、オバマ、ソロス家への不審小包送付のおまけまで出ている。
中国当局がスイス大手銀UBSの行員の出国を阻止したと伝えられた。情報を受け、シティ、スタチャ、パリバ、JPモルガンなどが22日までに相次いで、社員の訪中延期、自粛通知を出したと言われる。
出国を阻止されたUBS女性行員は富裕層資産管理部門の顧客担当マネージャーで、中国地方当局高官との面談を求められたと言う。UBSは「全社員が中国への入出国を自由にでき、通常業務を行えることを確認した」と声明を出した様だが、約43兆円規模にあるアジア富裕層資産管理業務への影響が懸念されたようだ。米中摩擦と言うより、中国ビジネスそのもののリスクとの受け止め。
JPモルガンのアナリスト等が24日付で「パッシブ運用の投資家に気を付けた方が良い」との警告を出した。世界のパッシブファンドは7兆4000億ドル(約830兆円)の規模にあり、次のリセッション(景気後退)期に起こり得る大幅な株安を増幅させるとの見方を示した。一般にパッシブファンドはトレンドフォローで運用され、上げ下げを増幅すると見られている。米経済がリセッションに向かっているとの見方はまだないが、世界情勢(中国、中東、欧州)に押される懸念が出始めている。
旧ソ連の崩壊は、米国との軍拡競争(スターウォーズ)に敗れ、原油安で財源を失い、不良債権(東欧への援助)に圧し潰されたためと看做される。今回の米中冷戦では、財源(対米貿易黒字)の締め付けが始まり、「一帯一路」と言うより国内不良債権(不動産及び国営企業)が圧し掛かり、米国のINF(中距離核戦力廃棄条約)破棄で軍拡競争に巻き込まれる(条約相手はロシアだが、破棄理由は中国と見られる)と、条件が揃ってきたと見られている。
中国経済崩壊が加速するとの見方になり、その警戒感が金融市場(今のところ株式市場)を揺さ振り始めたとの受け止めになる。その中で7年ぶりとなる安倍訪中が行われるが、市場では材料視されていない。中国の方向転換のキッカケとなるか、表面上の合意より、実質的な転換材料を探りたい。そう言えば、秋の共産党大会のアナウンスメントは未だなされていない。11月G20の場とされる米中首脳面談などへの橋渡しなども注目される。
日銀は昨日で今月10回目のETF購入を行った。累計7030億円で、日銀がETF購入を止めるとの議論は雲散霧消した。愚直な安定化策も支えになると考えられる。
出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(18/10/25号)
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