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「友中親米派」の台湾民衆党が総統選の台風の目に?【フィスコ 東アジア考察】

注目トピックス 経済総合
来年2020年1月に台湾では総統選挙が行われる。香港での大規模デモ長期化で台湾国内でも中国支配への警戒感が高まったことから、再選を目指す「反中親米派」の民主進歩党(民進党)の蔡英文(さい えいぶん)氏は、9月上旬の台湾4大新聞の一つ「聯合報」の世論調査にて「親中派」の中国国民党(国民党)候補者の韓國瑜(かん こくゆ)氏を大きく引き離して以降、総統選挙戦を優位に進めていた。ただ、10月下旬に発表された同社の世論調査の結果は、蔡氏、韓氏ともに支持率が前回比でダウンする格好となった。

10月26日に発表された「聯合報」の世論調査(調査は全国を対象に10月24日から26日にかけて実施され、1,202人の成人が回答)では、蔡氏と韓氏の支持率はともに前回(9月下旬実施)との比較では、蔡氏が42%で3%ダウン。韓氏も30%で3%ダウンしている。支持率の開きは9月下旬と同じ12ポイントだが、蔡氏、韓氏の支持率がともに減少した理由として、「誰に投票するかまだ決めかねている(未決定)有権者が増加しているため」と聯合報は指摘している。「未決定」の立場をとる有権者は、9月上旬の8%から9月下旬には10%、今回は16%とじりじりと増加。聯合報ではこの背景に関してふれていないが、8月6日に台北市市長の柯文哲(か ぶんてつ)氏が立ち上げた「友中親米派」の台湾民衆党(民衆党)の存在が影響したと推測する。

柯氏は、10月下旬、台湾唯一の国営通信社「中央社」のインタビューに対して、蔡氏は「親米過ぎ」と指摘した一方、韓氏は「親中過ぎだ」との考えを示しており、「台湾は中国と米国の間でバランスを取るべきだ」と話している。また、「反中国共産党だとしても反中である必要は無く、反中であっても中国を非難する必要はない」と発言しているほか、反中国共産党かとの問いには「彼らに統治されるのに反対なだけだ」と答えている。

台湾民衆党は誕生してまだ3カ月が経過したばかりのため、大手メディアによる支持率の変遷は確認できないが、台湾の一部ネットニュースが発表した10月末の政党別支持率では、国民党が29.2%、民進党が27.2%、民衆党が9.6%となっている。ネットニュースのため信ぴょう性には疑問があるものの、第三政党としてそれなりの支持率はあるようだ。

香港での大規模デモが長期化し混迷を極めているほか、米国との貿易問題も抱えている中国としては、「反中親米派」の民進党政権の樹立を一番に阻止したいのではないかと考える。となれば、このまま「親中派」の国民党だけをバックアップするのではなく、「友中親米派」を掲げ、それなりに支持率を集めそうな民衆党もバックアップすることで、台湾の「反中」国家継続を回避したいという選択肢もあろう。次回の聯合報の世論調査の結果は11月下旬もしくは12月上旬に発表される予定だ。今後、第三政党の柯氏の支持率が加わるか、そして、蔡氏の支持率がじりじりと低下していくかどうかに注目したい。



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