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コラム【新潮流2.0】:冬の入学試験(マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木隆)

注目トピックス 経済総合
◆土曜日は名古屋でセミナーだった。地方で講演するときは原則として前泊するが、名古屋であれば東京から東海道新幹線で約1時間半なので当日行く。しかし土曜日は関東地方で雪の予想が出ていたため慎重を期して今回は前泊することにした。土曜日はセンター試験もあった。受験生も当日の天気や移動の足などが気になっただろう。ネットではセンター試験当時に雪が降ることが多いと話題になっていた。

◆前にも書いたかもしれないが、なぜわざわざこんな時期に入学試験をやるのだろうと思う。雪が降ったら交通機関の乱れが心配される。インフルエンザも流行する。寒いので体調管理も難しい。入試という一発勝負で運不運の影響が大きく出やすい。例えば春や秋のもっと穏やかな季節に試験をおこなった方が受験生の体力面・精神面での負担もだいぶ軽減されるだろう。

◆厳寒期の試験は苦労が多いが、しかし大変なのはみな同じ。同じ条件で戦っているのだから体調管理や突発事象への対応なども含む「トータルなマネジメント力」も受験で試されるもののひとつ…という声があるが、どうだろう。 まず「同じ条件」というところが違う。国土の狭い日本だが、それでもめったに雪が降らない都心と雪国の違いもある。離島の受験生などはフェリー運航の関係でセンター試験を受けるためだけで何泊もしなければならない。大臣が「身の丈に合わせて」などと発言すること自体、すでに格差が生まれていることの証だろう。

◆いっそのこと4月入学3月卒業という学事暦を変えればいいと思うが、それが無理なら単に入試の時期だけを変えればいい。都会・地方という居住地だけでなく、それも含めた社会経済ステータスの差が、個人の努力やがんばりでは乗り越えられない「教育格差」を生み出している。「格差」があるから弱者も生まれる。いかんともしがたい現実だが、そうした「教育弱者」の受験生にはせめて受験当日のコンディションだけは万全な状態で臨ませてあげたいものだ。

マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆
(出所:1/20配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より抜粋)




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