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今日の香港は明日の日本【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】

注目トピックス 経済総合
香港の現状は、日本の近い先の状況を考える上で重要な視座を提供している。SARSを経験した香港は「高い緊張感」が特徴的である。国内感染者がまだ出ていなかった1月後半の段階で全ての学校と遊園地の閉鎖が決まり、翌週からはサッカー場などの公共施設が全て閉鎖された。自宅勤務が奨励されて街から人が消える一方、オフィスの出入り口ではサーモスタットでの検温が必須化している。

一方、日本政府は、2月25日に「感染拡大の勢いを止められるかどうかは、今後1〜2週間が瀬戸際」との基本方針を決定し、テレワーク化、イベント自粛などに向かいつつある。正に1ヵ月前の香港の状況である。

その香港では、デフレ的な要因とインフレ的な要因が混在している。香港観光局によると、2月の入国者数は1日当たり3,000人を下回っている。中国との往来禁止の影響も大きいが、1月の1万人/日、前年2月の20万人/日のいずれと比べても激減である。2019年12月の小売売上は前年比19.4%減と6ヵ月連続での2桁減であった。長期化するデモの影響から香港の消費は既に冷え込んでいたわけだが、レストランは空席がほとんど、フードコートのモールも外からは閉店かどうかの判断がつかない状況で、さらなる悪化が不可避な情勢である。2月の小売売上は「3割減」というのが体感だそうだ。

一方、日本のPOS小売販売額指標では、2月10〜16日の週までは、5業態のうち4業態が前年比プラスの売上を記録していた。

他方、香港ではモノ不足も報じられている。2月5日頃、市内のスーパーマーケットで空の棚を写した写真がSNSを賑わせた。その後、トイレットペーパー、米、および消毒剤が買えなくなったと言われ、2月17日には、「トイレットペーパー強盗」が報じられた。その他では棺の在庫不足なども報じられている。あくまでも体感ベースであるが、スーパーでの価格が前月に比べ1割程度上昇したとの見方もあり、不安軽減のため、主要な商品の購入に制限がかけられつつあるようだ。モノの流通が滞っていることは事実だろうが、不安心理がパニック買いにつながってしまったようだ。

日本でもマスク、消毒薬に続き、ゴム手袋不足が報じられるようになってきた。SNSの普及から、パニック買いを回避することは難しく、一定の備蓄は必要だろう。パニック行動の抑制には、正確な情報提供が何よりも重要である。その点では政府当局から在庫状況のリアルタイムデータが提供されることが切望されるところであり、経済産業省は「最新のマスク情報」を公表している。ただこれは、裏を返せばまだマスクにしか気が回っていないとも言える。

2月26日、香港政府は2020年度の予算案を発表した。直近の景気情勢を反映し、種々の景気対策が盛り込まれた。具体的には、市民約700万人を対象として1万香港ドル/人の現金支給、中小企業向け低利融資や個人所得税の軽減、低所得世帯向け支援の拡充などである。

一方の日本は「追加経済対策の財源として補正予算も視野に入ってきた」とされる。コロナ破綻を先送りするためには融資面の支援は不可欠であろうし、対策キャッシュレス補助金の後は、「サーモスタット補助金」なども候補に挙がるのかもしれない。

写真:ZUMA Press/アフロ

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