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コロナショックと金融規制【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】

注目トピックス 経済総合
コロナショックによる実体経済への悪影響を緩和すべく、金融規制が一時的に緩和されている。バーゼル3の最終段階の適用開始は1年先延ばしとなり、最低基準に上乗せして求めていた自己資本を取り崩すことも容認された。一時的にレバレッジ比率規制も緩和されている。FRBは、救済が講じられる前の時点で返済に滞りがなかった借り手については、「不良債権のリストラクチャリング」と分類するよう求められることなく、融資条件の変更を可能にした。

米国商業銀行による融資残高は3月末時点で前年比7.4%増と伸び率が加速した。2019年時点でのCET1比率(普通株式等Tier1をリスクアセットで割った比率)は大手銀行15行平均で12.0%であり、貸出余力(リスク資産増加余力)は相応にあろう。預貸率も75%にとどまっている。もっとも今後の業績悪化により、自己資本が削られた場合には、その余地は小さくなることには注意が必要であろう。

多くの米国大手銀行の2020年1〜3月決算では、引当金積み増しによる減益決算が相次いだ。JPモルガンは、4〜6月に米国のGDPが25%減少、失業率が10%超まで上昇するが、年後半には景気回復することを前提に引当を積んでいる。一方で、4〜6月のGDPが35%減少し、その水準が年末まで継続、失業率が年末に14%に達するというストレスシナリオのもとでは、CET1比率が2019年末の12.4%から9.5%に低下するという試算を示している。

(株式会社フィスコ 中村孝也)



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