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日本から失われていく暗号資産【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】

注目トピックス 経済総合
Crystal Blockchainによると、2020年1〜9月の日本からのビットコイン流出額は23.0億ドルであったのに対して流入額は14.4億ドルであり、トータルでは8.6億ドルの純流出となった。1〜6月は3.3億ドルの純流出であったことから、7〜9月には流出ペースがやや加速したと見られる。2019年の純流出は11.5億ドルであったが、このペースが続けば、2020年通年も2019年とほぼ同程度の純流出が生じることになりそうだ。

日本から暗号資産が継続的に失われている状況には、警戒感が必要だ。2013年以降の日本からのビットコイン純流出は累計で41.8億ドルに上っており、2017年以降は継続的な純流出が生じている。累計の純流出額が大きいのは、セーシェル、リヒテンシュタイン、日本などであり、純流入額が大きいのは、米国、イギリス、EUなどである。

「日本から10兆円弱の暗号資産が流出?」(※1)では、インターネット、スマートフォン、携帯電話の普及率を参照して、日本からの暗号資産の純流出は2030年時点で84〜86億ドル、2020〜30年の累計では690〜850億ドルという規模感である可能性を示した。「今後の暗号資産の普及率がS字カーブを描いて上昇する」という想定に立ち、暗号資産の純流出額を再度推計しても、2030年時点では96億ドル、2020〜30年の累計では757億ドルと、結果は大きく変わらない。

さらに大きな規模で、日本からは暗号資産が失われていくことが見込まれる。こういったデジタル資本の流出を止めるために、今の日本に必要なものは、規制強化ではなく、流入を促進することで一方的な流出に歯止めをかけるという「デジタル資本吸収戦略」であろう。

(株式会社フィスコ 中村孝也)

※1:https://web.fisco.jp/platform/market-news/0009330020200804005



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