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活発になる法定通貨のデジタル化、先行するデジタル人民元

注目トピックス 経済総合
法定通貨のデジタル化についての議論が各国で活発になってきているが、その中でも中国におけるデジタル人民元(DCEP)の動きは非常に活発と言える。既に大規模な実証実験、テスト運用の実施を重ねており、単なる検討だけではなく、具体的に進捗している。

中国は2014年、デジタル人民元発行に向けた取り組みを開始した。2019年には、DC/EP(デジタル通貨電子決済、Digital Currency/Electronic Payment)と名付け、設計や機能開発を完了した。2020年1月、中国人民銀行が基準の策定や機能の研究・開発といった基本設計が完了したと発表した。3月にはデジタル人民元の流通に向けて関連する法律の作成に取り組むなど、表立った進捗状況の公表があった。4月に入ると、中国のマクドナルドやスターバックス、サブウェイなど19の小売企業をデジタル人民元の試運転対象店舗として現地メディアに紹介された。また5月には、蘇州市で公務員が受け取る手当の一部(交通費手当)がデジタル人民元で支給された。さらに、同国4大商業銀行の一つ「中国銀行」の李礼輝元総裁が「デジタル人民元は間もなくローンチされる」と発言し、中国は中央銀行デジタル通貨(CBDC)の最初の発行国になると注目されている。

2020年11月2日、中国人民銀行の易綱総裁は、デジタル人民元のテストは順調に進んでいると明かした。ブルームバーグによると、取引回数は400万回を超え、合計20億元(約310億円)以上であるという。また、SWIFT主催のオンラインSIBOS銀行会議の場では、中国人民銀行のファン・イーフェイ副総裁が登壇し、2020年8月下旬までに取引回数300万回以上、約11億人民元(約171億円)の取引があったことを明かしている。そこから約2ヵ月間で、さらに進捗していることになる。例えば、直近に深センで実施されたテスト運用はかなり具体的な内容であり、実証実験というより、まさにテスト運用段階と言える。易綱総裁は、2022年の北京冬季オリンピックにおいてデジタル人民元を使用する計画であることも表明している。

(株式会社CAICA 鈴木伸、株式会社フィスコ 白幡玲美)



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