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バーチャルオンリー型の株主総会は実現するか?【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】

注目トピックス 経済総合
2020年11月19日に開催された第4回成長戦略会議では、「バーチャル株主総会」も議論の対象となった。株主総会のプロセスに関しては、電磁的方法による議決権行使、昨年の会社法改正における株主総会資料の電子提供制度の導入など、電子化が進められつつあるが、新型コロナウイルス感染症の影響により、デジタル化のニーズはさらに加速している。

日本の会社法では、株主が参集する実在の場所を設けずに、インターネット上のみで株主総会を開催すること(バーチャルオンリー型)が認められていない。そのため、物理的に会場を設けた上で、インターネット等を通じた参加・出席も認められる「ハイブリッド型」のバーチャル株主総会を開催する必要がある。2020年には、このようなハイブリッド型の株主総会が122件開催された。一方、米国は大部分がバーチャルオンリー型であり、2020年に1,464件の開催実績があった(ハイブリッド型で30件)。

米国や英国では、恒久的な制度として「バーチャルオンリー型株主総会」の実施が認められている。また、ドイツやフランスでは、コロナ感染拡大に対応し、時限措置として「バーチャルオンリー型株主総会」の実施が認められている。内閣官房成長戦略会議事務局作成の論点メモでは、「株主総会について、ウィズコロナの中で、バーチャルオンリー型の株主総会が米欧で認められていることに鑑み、我が国についても、来年の株主総会に向けて、法改正を検討すべきではないか」と言及している。

ただし、「バーチャルオンリー型」を導入すると、株主が同日に複数の総会に出席できるようになる一方、株主が質問する権利が制限されるおそれや、通信障害によるトラブルなどの課題もある。通信障害で議決権行使に影響が出た場合、決議の有効性をどう判断するか、などトラブル時の制度設計も必要不可欠である。なお、11月25日、フィスコ<3807>では、バーチャル株主総会の議決権行使システムについて、開発が完了した旨のリリースを公表している。
(株式会社フィスコ 中村孝也)



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