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鉄鉱石、石炭等の大口商品価格の高値推移分析に見る大国間のパワーゲーム(2)【中国問題グローバル研究所】

注目トピックス 経済総合
【中国問題グローバル研究所】は、中国の国際関係や経済などの現状、今後の動向について研究するグローバルシンクタンク。中国研究の第一人者である筑波大学名誉教授の遠藤 誉所長を中心として、トランプ政権の ”Committee on the Present Danger: China” の創設メンバーであるアーサー・ウォルドロン教授、北京郵電大学の孫 啓明教授、アナリストのフレイザー・ハウイー氏などが研究員として在籍している。関係各国から研究員を募り、中国問題を調査分析してひとつのプラットフォームを形成。考察をオンライン上のホームページ「中国問題グローバル研究所」(※1)にて配信している。

◇以下、孫 啓明教授の考察「鉄鉱石、石炭等の大口商品価格の高値推移分析に見る大国間のパワーゲーム(1)【中国問題グローバル研究所】」の続きとなる。

二、2020年FRBの無制限の量的緩和が、世界主要国の14兆ドルのマネーサプライを促し、これが世界的な資産価格の高値推移を招いた深層原因

ブルームバーグが最近公表したデータによれば、2020年の米国、中国、ユーロ圏、日本等世界12大主要大型経済主体の総マネーサプライは既に94.8兆ドルに達した。世界主要8大経済主体だけでも2020年に14兆ドルの貨幣が新規に増加し、増加幅は2003年以来のあらゆる年のデータを超えたのみならず、2017年の8.38兆ドルの水準をも遥かに凌駕した。

これは史上前例なきデータで、正にこれほど膨大な量の貨幣を印刷したおかげで、全世界の資産価格が幾度も暴騰した。全世界の主要中銀の貸借対照表が急速に膨張し、FRB、ECB、日銀、BoEの貸借対照表の規模が各国GDPの凡そ50%前後を占めた。これら中銀の債務規模は、2008年のサブプライムローン危機の時に僅か10%、2019年に僅か36%だったものが、たかだか10年で既に数倍になった。これでは必然として資産価格のバブル、大規模インフレあるいはグローバル債務危機がいつ起こってもおかしくない。

中銀の貸借対照表の膨脹は、本質的には量的緩和が招いたものである。量的緩和は実際は負債であり、主に向かう先は国家の政府負債で、この10年間で、これら国家の政府債務は急速に膨張し、米国の政府債務だけで28兆ドルを超える。トランプ氏在任の4年間で、何度もFRBに圧力をかけてマイナス金利を実施、このビジネスマン大統領は、マイナス金利で米国債を発行しさえすれば、米国政府は返済を少なくできる上に、この種のやり方で金を稼ぐことも可能だと考えた。トランプ氏はまた欧州が既にマイナス金利を実施しているので、米国も同様にやるべきで、さもなければ欧州によって米国が出し抜かれると考えた。

これらの貨幣が流入した分野の価格は大規模に高騰する。大口商品分野に流入したので、全世界の大口商品の価格が暴騰した。鉄鉱石価格が繰り返し高騰し、銅価格が繰り返し高騰し、非鉄金属価格が繰り返し高騰した。従ってこれがハイパーインフレと資産価格バブル高値推移の根本原因である。

歴史は次の事を証明している。即ち、一般にドルインデックスが90を突破すれば、全世界の流動性が逼迫に向かい、往々にして爆発危機が起こる。他方ドルインデックスが90を割り込むと、全世界の流動性の氾濫を示し、インフレが到来して、資産バブルが必ず起こされる。現在ドルインデックスが既に90を割り込んでおり、従って、大口商品価格の大幅な高騰は単に始まりに過ぎず、最も厳しい結果として2008年よりも更に厳しい経済危機を引き起こす可能性がある。企業家、投資家の方々はやはり転ばぬ先の杖、備えあれば患いなしを心がけるのが良いでしょう。

写真:ロイター/アフロ

※1:https://grici.or.jp/



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