日本の国富【フィスコ世界経済・金融シナリオ分析会議】
[21/02/02]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 経済総合
1月19日、内閣府は、2019年度の国民経済計算年次推計を公表した。この中で2019年の日本の国富の推計値として「3,689.3兆円」という数値が示されている。
期末貸借対照表は、制度部門ごとに作成され、年末時点で当該部門が所有する資産(金融資産及び非金融資産)並びに負債の残高、そしてその差額である正味資産を時価評価で計上する勘定である。一国経済全体の正味資産は国富とも呼ばれる。国富を計算する上で資産から負債を控除する際、国内の制度部門間で相互に保有し合っている金融資産・負債は相殺されるため、国富は「非金融資産」と国外に対する金融資産と負債の差額である「対外純資産」の合計値と等しくなる。
2019年末の非金融資産は3,322.6兆円、金融資産は8,052.8兆円となり、総資産は1京1,375.4兆円となった。一方、負債は7,686.0兆円であったため、正味資産、すなわち国富は3,689.3兆円という計算となる。国富は4年連続で増加し、2019年には前年末から99.7兆円の増加となった。比較可能な1994年以降で最高水準にある。国富を制度部門別にみると、家計が2,692.4兆円、非金融法人企業が604.8兆円、金融機関が184.1兆円、一般政府が98.6兆円となっている。この国富が、559.7兆円の名目GDPを生み出したことになる、
国富とは、国民所得を生み出す元本であるとともに、その結果として蓄積された諸財の蓄えでもある。もっとも内閣府が公表した数値は、あくまでも国民経済計算上の国富に過ぎない。国富とは、国家全体が所有する再生産可能なすべての資産であり、国益を追求するために開発すべき資産であるという点を踏まえると、実際の国富はもう少し広い概念で捉えることが必要だろう。企業を評価する上でも、目に見える資産だけでなく、無形資産やブランド価値なども注目されるようになってきた。国の国富についても、科学技術の論文件数やIT技術者数なども含めて考えることが検討されよう。
(株式会社フィスコ 中村孝也)
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期末貸借対照表は、制度部門ごとに作成され、年末時点で当該部門が所有する資産(金融資産及び非金融資産)並びに負債の残高、そしてその差額である正味資産を時価評価で計上する勘定である。一国経済全体の正味資産は国富とも呼ばれる。国富を計算する上で資産から負債を控除する際、国内の制度部門間で相互に保有し合っている金融資産・負債は相殺されるため、国富は「非金融資産」と国外に対する金融資産と負債の差額である「対外純資産」の合計値と等しくなる。
2019年末の非金融資産は3,322.6兆円、金融資産は8,052.8兆円となり、総資産は1京1,375.4兆円となった。一方、負債は7,686.0兆円であったため、正味資産、すなわち国富は3,689.3兆円という計算となる。国富は4年連続で増加し、2019年には前年末から99.7兆円の増加となった。比較可能な1994年以降で最高水準にある。国富を制度部門別にみると、家計が2,692.4兆円、非金融法人企業が604.8兆円、金融機関が184.1兆円、一般政府が98.6兆円となっている。この国富が、559.7兆円の名目GDPを生み出したことになる、
国富とは、国民所得を生み出す元本であるとともに、その結果として蓄積された諸財の蓄えでもある。もっとも内閣府が公表した数値は、あくまでも国民経済計算上の国富に過ぎない。国富とは、国家全体が所有する再生産可能なすべての資産であり、国益を追求するために開発すべき資産であるという点を踏まえると、実際の国富はもう少し広い概念で捉えることが必要だろう。企業を評価する上でも、目に見える資産だけでなく、無形資産やブランド価値なども注目されるようになってきた。国の国富についても、科学技術の論文件数やIT技術者数なども含めて考えることが検討されよう。
(株式会社フィスコ 中村孝也)
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