米国雇用統計:3月の振り返りと4月のポイント「ワクチン接種は雇用に追い風か」 住信SBIネット銀行(馬渕磨理子)
[21/04/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 経済総合
こんにちは。フィスコ企業リサーチレポーター馬渕磨理子の「住信SBIネット銀行の気になるレポート」です。5月7日発表の米雇用統計に向けてレポートをご紹介します。その前に前回の3月雇用統計を振り返ってみましょう。
3月の非農業部門雇用者数は前月比+91.6万人となりました。事前予想は+66万人であり、増加幅が市場予想を大幅に上回っています。また、失業率は6.0%と、2月の6.2%から0.2ポイント低下しました。この日は米国が「聖金曜日」の祝日扱いのため、米国株式市場は休場でした。主要通貨の為替取引は動意薄だったものの、ドル・円は、110円49銭から110円75銭まで反発し、110円67銭で取引を終えています。
さて、5月7日発表予定の4月の雇用統計は就業者数90万人増、失業率5.8%が予想されていますが、具体的にはどのような内容になるのでしょうか。
レポートでは、『新型コロナウイルス向けのワクチン接種は急拡大しており、複数の州でサービス部門などにおける営業活動は大幅に拡大』していると述べています。『4月の非農業部門雇用者数は、3月実績(91.6万人増加)に近い増加となる可能性』があり、『失業率は雇用拡大を反映してさらに低下し、5.8%程度となる見込み』だと予想しています。また、『平均時給の上昇率は鈍化傾向にあり、3月実績を大幅に下回る可能性』があると見ています。
では、4月雇用統計の結果を受けて外為市場はどう反応するのでしょうか?
シナリオ1は『非農業部門雇用者数が予想以上に増加した場合、金利高・ドル高の可能性』です。4月の非農業部門雇用者数が、市場予想を上回った場合、『雇用回復のペースは予想以上に加速しているとの見方が広がり、米長期金利は再び上昇し、リスク選好的なドル買いが強まる可能性』があります。ただし、『3月の失業率が市場予想を上回った場合、リスク選好的なドル買いはやや抑制される可能性』があると予想されています。
シナリオ2は『非農業部門雇用者数の増加幅が市場予想を下回った場合、ドル買い縮小の可能性』です。4月の非農業部門雇用者数が市場予想を下回った場合、『金利先高観は後退し、リスク選好的なドル買いは縮小する可能性』があります。ただ、『雇用者増加数が1-3月期の平均水準(53.9万人増)を上回っていた場合、雇用拡大の傾向は維持されているとの見方が強まり、米国株式はしっかりとした動きを見せる可能性』があると述べています。
《留意点:バイデン米政権が富裕層対象にキャピタルゲイン増税計画を提示》
バイデン米大統領は4月28日夜(日本時間29日午前)、上下両院合同会議で演説し、インフラ整備、教育拡充を含む連邦支出、増税案などについて概要を提示しました。増税については、年間所得が40万ドル超の人々の個人所得最高税率を39.6%に戻すこと、100万ドル以上の場合、キャピタルゲイン税の税率を39.6%に引き上げることが計画されています。バイデン大統領は、「今や米国の実業界と上位1%の超富裕層が公平な負担を支払うべき時だ」と強調しました。
上記の詳細コメントは、住信SBIネット銀行サイト内の「米国雇用統計」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。
フィスコ企業リサーチレポーター 馬渕磨理子
<FA>
3月の非農業部門雇用者数は前月比+91.6万人となりました。事前予想は+66万人であり、増加幅が市場予想を大幅に上回っています。また、失業率は6.0%と、2月の6.2%から0.2ポイント低下しました。この日は米国が「聖金曜日」の祝日扱いのため、米国株式市場は休場でした。主要通貨の為替取引は動意薄だったものの、ドル・円は、110円49銭から110円75銭まで反発し、110円67銭で取引を終えています。
さて、5月7日発表予定の4月の雇用統計は就業者数90万人増、失業率5.8%が予想されていますが、具体的にはどのような内容になるのでしょうか。
レポートでは、『新型コロナウイルス向けのワクチン接種は急拡大しており、複数の州でサービス部門などにおける営業活動は大幅に拡大』していると述べています。『4月の非農業部門雇用者数は、3月実績(91.6万人増加)に近い増加となる可能性』があり、『失業率は雇用拡大を反映してさらに低下し、5.8%程度となる見込み』だと予想しています。また、『平均時給の上昇率は鈍化傾向にあり、3月実績を大幅に下回る可能性』があると見ています。
では、4月雇用統計の結果を受けて外為市場はどう反応するのでしょうか?
シナリオ1は『非農業部門雇用者数が予想以上に増加した場合、金利高・ドル高の可能性』です。4月の非農業部門雇用者数が、市場予想を上回った場合、『雇用回復のペースは予想以上に加速しているとの見方が広がり、米長期金利は再び上昇し、リスク選好的なドル買いが強まる可能性』があります。ただし、『3月の失業率が市場予想を上回った場合、リスク選好的なドル買いはやや抑制される可能性』があると予想されています。
シナリオ2は『非農業部門雇用者数の増加幅が市場予想を下回った場合、ドル買い縮小の可能性』です。4月の非農業部門雇用者数が市場予想を下回った場合、『金利先高観は後退し、リスク選好的なドル買いは縮小する可能性』があります。ただ、『雇用者増加数が1-3月期の平均水準(53.9万人増)を上回っていた場合、雇用拡大の傾向は維持されているとの見方が強まり、米国株式はしっかりとした動きを見せる可能性』があると述べています。
《留意点:バイデン米政権が富裕層対象にキャピタルゲイン増税計画を提示》
バイデン米大統領は4月28日夜(日本時間29日午前)、上下両院合同会議で演説し、インフラ整備、教育拡充を含む連邦支出、増税案などについて概要を提示しました。増税については、年間所得が40万ドル超の人々の個人所得最高税率を39.6%に戻すこと、100万ドル以上の場合、キャピタルゲイン税の税率を39.6%に引き上げることが計画されています。バイデン大統領は、「今や米国の実業界と上位1%の超富裕層が公平な負担を支払うべき時だ」と強調しました。
上記の詳細コメントは、住信SBIネット銀行サイト内の「米国雇用統計」にまとめられていますので、ご興味があればご覧ください。
フィスコ企業リサーチレポーター 馬渕磨理子
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