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コラム【アナリスト夜話】「スーパー補正予算」はどこまで成長を促せるのか(マネックス証券 大槻奈那)

注目トピックス 経済総合
岸田政権の補正予算案が閣議決定されました。財政支出は55.7兆円と、コロナ真っ只中の昨年を上回り、リーマンショック時の2倍。過去最大規模で、「スーパー補正予算」と言っていいでしょう。

今回の経済対策はどの程度の効果が期待できるのでしょうか。お金を遣えばその分その年のGDPは増えますから、少なくとも一時的にはプラスです。民間の予想するGDP押し上げ効果は1〜3%の間とされています。しかし、中長期的にどこまで国力を高め生活を豊かにできるのかは全く不明です。

先週発表された9月の第三次産業活動指数によれば、全体の3分の2の項目はコロナ前に戻っていませんが、大きく伸びている項目もいくつかあります。19年末比で伸びが大きい順に並べると、トップ7位までの全てが、金融や競艇・競馬といった、「お金を増やしたい」という願望の受け皿です。この間、個人預金も約50兆円(+10%)増えています。将来不安などで、入ってきたお金を素直に消費できないマインドが表れていると思われます。

もちろん、回復途上の今、困っている人々に速やかにお金を届けることは重要でしょう。ただ、財源は主に借金です。国がこれでデフォルトするとは思いませんが、今借金を増やせば、将来はその余力が少なくなり、未来の政策を制約します。従って、配られた資金は、技能習得や子育て支援、安全・安心の強化、有効な設備投資促進など、日本の将来価値向上に使われる必要があります。

他の先進諸国のコロナ対策が出口を模索する中で、財政的には最も厳しい日本はアクセルを踏みます。これは大きな賭けです。成果が上がれば世界的にも注目され、株式市場等を通じた資産効果がプラスαの経済効果となるでしょう。一方、人々の不安が増すなら、前回以上にお金が貯めこまれるでしょう。これから明らかになるスーパー補正予算の細目とその執行に注目です。


マネックス証券 チーフ・アナリスト 大槻 奈那
(出所:11/22配信のマネックス証券「メールマガジン新潮流」より、抜粋)




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