為替週間見通し:ウクライナ情勢とリパトリに要警戒
[14/03/22]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
■ドル・円強含み、イエレンFRB議長のタカ派発言などが意識される
先週のドル・円はやや強含み、101円24銭から102円68銭まで上昇した。ロシアのプーチン大統領は18日、ウクライナ南部のクリミア自治共和国をロシアに編入すると正式に表明したが、クリミアのロシア編入に強く反対していた欧米諸国との対立は一層深まり、リスク回避的な円買いが強まる場面があった。中国経済の先行き不安も意識されたようだ。
しかしながら、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が19日の会見で、量的緩和策は今年後半に終了し、その6カ月後に利上げが始まる可能性があるとの見方を示したことや人民元安・米ドル高の進行を意識して、短期筋のドル買いが優勢となり、ドルは一時102円68銭まで戻した。先週の取引レンジは、101円24銭から102円68銭となった。
■ウクライナ情勢とリパトリ(外貨建て資産売却・円買い)に要警戒
今週のドル・円は、3月期末に向けた本邦機関投資家のリパトリ(外貨建て資産売却・円買い)で上値が重い展開の中、ウクライナ情勢の展開、日米のインフレ率、中国人民元の動向などを見極める展開が予想される。
■ウクライナ情勢と対ロ制裁強化
プーチン・ロシア大統領がクリミア自治共和国のロシア編入を強行したことで、欧米英とロシアとの対立深刻化が懸念されている。オバマ米政権が「OFAC規制」(米国大統領が国家の安全保障を脅かすとして指定した国、法人などをリストとして公表し、それらが保有する資産の凍結等について規定している)を発動し、ロシア国家及び金融機関の資産凍結を強行した場合、ロシアも米国債の売却などを警告しており予断を許さない状況が続く。
■中国人民元のレッドライン:6.20元
中国人民銀行が、中国人民元の許容変動幅を拡大(±1%から±2%へ)したことで、中国人民元が、レッドラインと見なされていた6.20元を超えて続落している。中国政府は、理財商品などのデフォルト(債務不履行)を容認する姿勢を見せており、約5000億ドルとの見方もある投機筋の人民元買いポジションの手仕舞いの有無とこの動きに絡んだドル・円の売買動向を注視する展開となる。
■日本の3月上旬貿易収支(28日)
日本の貿易収支は、20カ月連続して貿易赤字を記録しており、3月も21カ月連続の貿易赤字が予想されている。貿易赤字の継続は、ドル・円を下支えする要因となる。
■日米のインフレ率(28日)
日本の2月のインフレ率(コア消費者物価指数)は、前年比+1.3%と予想されており、1月の前年比+1.3%と変わらずと見込まれている。米国の2月のインフレ率(コア個人消費支出価格指数)は、前年比+1.1%と予想されており、1月の前年比+1.1%と変わらずと見込まれている。日米のインフレ率が予想通りならば、ドル・円相場への影響は限定的だと予想される。
■リパトリ(外貨建て資産売却・円買い)
3月期末決算に向けた本邦機関投資家によるリパトリ(外貨建て資産売却・円買い)により円買い圧力が強まることが予想される。
主な発表予定は、24日(月):(米)2月シカゴ連銀全米活動指数、27日(木):(米)10-12月期国内総生産確定値、(米)2月中古住宅販売仮契約、28日(金):(日)2月完全失業率、(日)2月有効求人倍率、(米)2月個人所得・支出。
[予想レンジ]
ドル・円99円00銭-104円00銭
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