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新興市場見通し:決算発表も一巡で一段と手掛かり難の展開へ

注目トピックス 市況・概況

先週の新興市場は、安値圏でのもみ合いとなった。米ネット関連株などのリバウンドに連れ高する局面もあったが、個人投資家の投資マインド低下を受けて、反発力は極めて限定的なものにとどまった。売買代金も低調な推移が続いている。新興市場の中小型株が連動しやすいソフトバンク<9984>の調整ムードが強まっているほか、DeNA<2432>の株価急落がゲーム関連株に影響を与える場面も見られた。さらに、一部人気銘柄のファイナンス実施発表も警戒材料視される。なお、先週の騰落率は、日経平均が-0.7%であったのに対して、マザーズ指数は-3.6%、日経ジャスダック平均は-2.2%だった。

個別では、公募増資の実施を発表で希薄化懸念が強まったエナリス<6079>が売られる。アキュセラ<4589>は「エミクススタト塩酸」の臨床試験追加実施を受けて急落。サイバーD<7779>は今期の経常赤字継続見通しで週末にかけ上場来安値更新。フュトレック<2468>、プラネックスH<6784>、カイオム<4583>、アーキテクツ<6085>などは決算内容が嫌気される。一方、ミクシィ<2121>は今期の大幅増益見通し、並びに株式分割が好感されて連日の急騰。エスケーエレク<6677>も大幅上方修正が買い材料に。クルーズ<2138>は前期業績の上振れ着地が、マイクロニクス<6871>は通期業績の上方修正が買い材料に。地盤ネット<6072>、レーサム<8890>なども決算内容が好感される。ラクオリア<4579>はiPSアカデミアジャパンと共同研究契約を締結したことがポジティブなインパクトにつながった。

今週の新興市場は、決算発表も一巡したことで手掛かり材料に欠ける状況となり、一段と様子見ムードが強まる展開となりそうだ。欧米株式市場には短期的な達成感が生じつつあること、ウクライナ情勢や日銀金融政策決定会合後の出尽くし感に対する警戒感が強まりやすいことなど、今週は外部環境も逆風となってくる可能性がある。米モメンタム関連やソフトバンクの下げ止まり鮮明化などを待ちたいところだが、こうした状況がすぐに表面化するとの期待は高めにくい。なお、マザーズ指数と比べて、相対的に底堅い動きとなっていた日経ジャスダック平均も、下値支持線となっていた200日移動平均線を先週は明確に割り込む状況となってきている。

個別では、活況が続くミクシィ<2121>の動きに注目だが、現状では他のゲーム関連株への波及効果は限定的にとどまっている。ただ、昨年12月の高値水準突破なら、ゲーム関連の盛り上がりにつながる可能性も期待できよう。また、先週末に上場来安値を更新したサイバーD<7779>の動きは警戒される。見切り売りに一段と下げ幅を拡大なら、主力銘柄や直近IPO銘柄にもネガティブな影響を与えよう。主力銘柄では、足元でポジティブなニュースフローが相次ぎ、信用取引規制が緩和されている日本通信<9424>などに注目か。ほか、週前半はマンション販売や日銀政策決定会合を控えてレーサム<8890>やいちごHD<2337>などの不動産株に注目。また、4月の百貨店売上高を通過して、小売各社には消費増税実施の影響懸念が後退していく可能性も。

今週はジャスダック市場に東武住販<3297>が新規上場予定となっている。5月では唯一のIPOとなるものの、地合いの悪化や地方案件であることから、やや盛り上がりに欠けるスタートとなろう。ちなみに、先週はリクルートのIPO観測が伝わったが、関連銘柄への関心は限定的にとどまっていた。



<TN>

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