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国内株式市場見通し:米雇用統計見極めも成長戦略への期待から相場は崩れず

注目トピックス 市況・概況

■日経平均は今年初の6営業日続伸

先週の日経平均は上昇。前週半ばからのリバウンド基調が継続するなか、29日までで今年初の6営業日続伸となった。米国ではS&P500指数が連日で最高値を更新したほか、不安定な値動きが続いていたモメンタム株への買い戻しの流れが出てきたことが安心感につながった。また、ウクライナ大統領選が通過したことで、一先ず地政学リスクへの警戒も和らいだ格好か。個人投資家の売買が活発となるなか、ベンチマーク的なソフトバンク<9984>のほか、ミクシィ<2121>の強い動きが他の中小型株への物色に向かわせるなど、個人のセンチメントが改善している。

また、年金資金による資金流入への思惑が根強い。自民党税制調査会は、安倍首相が意欲を示している法人税の実効税率引き下げに関し、引き下げを容認する方向で調整。6月以降の成長戦略への期待感も高まりやすく、出遅れ感の強い銘柄への見直しが意識された。

■成長戦略への思惑が高まりやすい

今週は名実ともに6月相場入りとなる。市場の関心は6月中に政府が発表する成長戦略となろう。足元では法人税引き下げに関する報道が伝えられているほか、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)改革ではリスク資産運用比率の引き上げが実現に向けて動き出すかが注目される。法人税引き下げに関しては、方針というよりは、具体的な税率に言及するかが、相場の方向性を左右させよう。なお、「国家戦略特区」に指定された福岡市は、法人税の実効税率を15%程度に引き下げる規制緩和策を、国に追加で求める方針を固めたと伝えられている。東京圏や関西圏も、実効税率の引き下げを追加提案する見込みであり、思惑が高まりやすい。

■GPIF引き上げは企業の株主還元策へ

また、GPIFの運用方針見直しについては、2015年度の運用ポートフォリオを決めるにあたり、国内株式の比率がどの程度まで引き上げられるかが注目されるところ。足元では18〜20%に引き上げとの見方がされている。GPIFは国内株式のパッシブ運用のベンチマークに、「JPX日経インデックス400」を採用している。足元で自社株取得を発表する企業へ関心が集まっているが、JPX日経400の普及が拡大するとみられるなか、採用されていない企業にとっては、ROEの向上を狙い、株主還元策を拡充してくる可能性がある。そのため、低ROE、低配当利回りで、キャッシュリッチ企業を探る動きも強まりそうである。

■出遅れ物色に広がり

もっとも、これらの結果を見極めるまでは上値追いこそ慎重になろうが、反対にそれまでは売り込む流れにもなり難い。日経平均は1月から下落基調が続いており、期待先行の流れはそれ程強まっていないだろう。このところのリバウンドについても、個別ではトレンドが好転している銘柄が散見されているが、指数インパクトの大きいソフトバンク<9984>が25日線の攻防など、日経平均についても自律反発の範囲内である。そのため、政策期待を背景とした出遅れ物色に広がりがみられるなか、日経平均はじり高基調が続きそうである。

■米雇用統計への警戒感も

経済指標では6月2日に1-3月期の法人企業統計、5月の新車販売、6日に4月の景気動向指数が予定されている。米国では、2日に5月のISM製造業総合景況指数、4月の建設支出、3日には4月の製造業受注指数、5月の自動車販売統計、4日には地区連銀経済報告(ベージュブック)、MBA住宅ローン申請、5月のADP雇用報告、5月のISM非製造業総合景況指数、6日には5月の雇用統計の発表が予定されている。4月の雇用統計は予想を上回る内容だったが、大型連休明けの日経平均は大幅な下げとなったこともあり、慎重姿勢が強まることも。ただ、米国の雇用統計への警戒感が高まる局面においては、押し目拾いの好機との見方に向かわせる可能性も意識されるところか。



<TN>

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