新興市場見通し:個人投資家のマインド改善、短期的な過熱感には注意
[14/05/31]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 市況・概況
先週の新興市場は、中小型株に対する物色意欲の再燃が支援材料となり、戻りを試す展開となった。とりわけ、ミクシィ<2121>が短期資金を巻き込んで上値追いとなり、相場全体の物色の柱となったことが刺激材料に。マザーズ市場では、ミクシィに連れ高する形で主力のネット関連やバイオ関連に見直しの動きが強まったほか、ゲーム関連やロボット関連、直近IPO銘柄など、値動きの軽いテーマ株の循環物色も広がりを見せた。先週の上昇率は、日経平均が1.2%であったのに対して、マザーズ指数は10.6%、日経ジャスダック平均は4.0%だった。なお、先週末までマザーズ指数は9日続伸、日経ジャスダック平均は7日続伸となっている。
個別では、ミクシィが週間で約18%の上昇となった。信用取引規制の強化を背景に利益確定売りが膨らむ場面も見られたが、短期資金による物色意欲は根強く上値追いに。ガンホー<3765>やクルーズ<2138>、サイバーエージ<4751>など、ネット関連も総じて堅調。また、リプロセル<4978>は米英バイオ企業の子会社化が好感されたほか、再生医療の技術を使い人の心臓の筋肉や網膜などを安く大量に作り出す手法を確立するため、産学官が連携すると報じられたことも材料視され大幅高へ。アキュセラ<4589>については、バークレイズが投資判断「オーバーウエイト」、目標株価2500円でカバレッジを開始したことが好感され急伸。一方、週末にかけては信用取引規制の強化が利益確定売りを誘い、マイクロニクス<6871>が軟調に推移した。
今週の新興市場は、個人投資家のマインド改善によるリスクオンムードが支援材料となる一方、短期的な過熱感も意識される中で強弱感が対立する展開となりそうだ。先週と同様に、物色の柱となっているミクシィの動向に左右されやすい地合いが続く公算。ミクシィについては、一部国内証券が目標株価を1万2500円まで引き上げたことが話題となったが、先週末時点で同水準に到達し、いったんは達成感が意識されやすいだろう。直近ではミクシィの上値追いが短期資金による活況な売買を誘発していた面が強く、ミクシィが過熱感から調整色を強めると新興市場全体の盛り上がりも一服する可能性がありそうだ。なお、マザーズ指数は先週までの上昇で2月上旬の急落以来、約4ヵ月ぶりに75日線を突破しており、目先は815ポイント水準に位置する200日線の回復がポイントとなる。
個別では、主力のネット関連やバイオ関連への物色が中心となりそうだ。先週はミクシィの上値追いが刺激材料となり、ガンホーも強い動きを見せるなど、ゲーム関連には見直し買いが向かいやすいだろう。また、好材料が出たリプロセルが素直に評価されるなど、直近で物色の圏外に置かれていたバイオ関連についても売られ過ぎ修正の動きが見込まれる。その他、先週末にかけてはサイバーダイン<7779>のリバウンド基調も強まっており、ロボット関連などの動向も注視したい。
なお、今週は2日から米アップルが世界開発者会議(WWDC)をサンフランシスコで開催する。今年は新型のアップルTVやスマートハウスに関する発表があるとみられており、関連技術に強みを持つ企業には思惑的な物色が向かう可能性もありそうだ。
<TN>