国内株式市場見通し:GPIF改革など成長戦略への思惑が先高期待を高める
[14/06/14]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
■金融政策決定会合の通過後は成長戦略への期待へ
先週の日経平均はこう着。週初には連日の最高値更新が続く米国市場の流れを受けて、約3ヶ月ぶりに15200円を回復。ただその後は足元の上昇に対する過熱警戒感が強まるなか、日銀の金融政策決定会合や先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)を控え、利益確定の流れに。イラク情勢など地政学リスクの高まりが嫌気されるなか、その後の米国市場の調整や為替の円高基調などが利益確定の流れに向かわせた。一方、個人主体の売買は引き続き活発であり、上昇を主導していたミクシィ<2121>こそ一服となるものの、他のゲーム株やロボット、バイオといったテーマ株への好循環物色が続いた。また、指数インパクトの大きいソフトバンク<9984>は強弱感が対立するなかで強さをみせたことも安心感につながったとみられる。
日経平均は先週末、メジャーSQ、金融政策決定会合後に急動意をみせており、直近の調整部分を吸収する戻りをみせていた。SQ通過で海外勢が本格的に動き出してきたとの見方や6月中に発表を控えている成長戦略への期待感が高まるなか、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)改革のほか、法人税率引き下げに関する報道が相次いでおり、押し目買い意欲の強さが窺える。
■リバウンド相場を意識したスタンスに
今週も政策期待の高まりを背景に、リバウンド相場を意識したスタンスに向かいやすいだろう。成長戦略について安倍首相は先週の産業競争力会議において「日本経済が一変するとのメッセージを強力に打ち出していくためにも骨太な政策に絞り込んでまとめてもらいたい」と述べた。また、GPIFの米沢運用委員長は、損失リスクは高いが、高収益も見込める株式などの比率を増やすことに意欲を示した。また、株式の比率をどれくらい引き上げるかは慎重に検討とするとしたものの、国内債券の比率を30〜50%程度に引き下げるというイメージは持っているとしており、GPIF改革への期待は大きいだろう。
■投資家、企業側ともにROEへの関心高まる
8月末にはGIPF運用のベンチマークの一つであるJPX日経400の銘柄入替えも控えている。選定には3年平均ROE、3年累積営業利益、時価総額などを点数化したものに、ガバナンスなどの評価を加えてランキングする。そのため、高ROE銘柄への関心は日々高まることになりそうだ。また、企業側についても、今後の株主総会等でROEの上昇を狙った株主還元策などが打ち出される可能性もあろう。一方で、足元で低迷しているソニー<6758>など、ROEがマイナスで除外される可能性がある銘柄などは、戻り売りなどが意識されそうだ。
■米FOMC、アップルの新製品発表会
イベントとしては17、18日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催される。100億ドルのテーパリング(量的緩和縮小)が継続されるとの見方はコンセンサス。ただ、足元で弱い経済指標の発表が続くなか、利上げ開始見通しについて変化が出てくる可能性がある。米債券や為替市場への変動要因となり、注意が必要か。そのほか、18日に米アマゾン・ドット・コムが新製品の発表を行う予定であり、3Dスマートフォンの発表が予想されている。
やや警戒されるところでは、イラク情勢であり、オバマ大統領は空爆を含め「数日以内に決断」する見通しが伝えられている。地政学リスクの高まりが積極的な売買を手控えさせることになるだろう。原油先物相場の上昇を背景に資源関連などへの物色が強まろうが、一方で、エネルギー価格高騰に伴うコスト増負担が次第に業績への重しとして警戒されてくる可能性も。
■IPOは良好な需給が追い風か
そのほか、16日にはニュートン・フィナンシャル・コンサルティング<7169>、18日にはムゲンエステート<3299>の新規上場が予定されている。足元では個人主体の売買が活発となるなか、良好な需給を追い風に好スタートが期待されるところか。
<TN>