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新興市場見通し:短期的に需給環境が悪化する中で上値の重い展開か

注目トピックス 市況・概況
先週(6/23-27)の新興市場は、直近の大幅上昇によって短期的な過熱感が意識される中で、利益確定売り優勢の展開となった。週初こそ中小型株に対する根強い物色意欲が支援材料となり底堅い動きとなったものの、イラク情勢の緊迫化など外部環境の悪化が心理的な重しとなり、徐々に利益確定売り圧力が強まる格好に。とりわけ、直近で物色の柱となっていたミクシィ<2121>やサイバーダイン<7779>が調整色を強め、週末のマザーズ指数は3%超の大幅下落となった。週間の騰落率は、日経平均が-1.7%であったのに対して、マザーズ指数は-3.4%、日経ジャスダック平均は-1.1%だった。なお、週末のマザーズ市場の売買代金は約1200億円に留まり、前週末から約5割減少している。

個別では、ミクシィが週間で約18%の大幅下落となった。株式分割の権利落ち日を通過し、目先の材料出尽くし感などから換金売りが膨らんだ。また、サイバーダインやマイクロニクス<6871>なども利益確定売りに押された。その他、ユーグレナ<2931>はいすゞ<7202>と共同で次世代バイオディーゼルの実用化を目指すと発表したものの、材料出尽くし感が意識され大幅下落へ。一方、日本通信<9424>は信用取引規制の解除が好材料視され年初来高値を更新。また、ナノキャリア<4571>はエーザイ<4523>と独占的ライセンス契約を締結したほか、サマンサJP<7829>は第1四半期の好業績観測報道が材料視され大幅高へ。なお、24日に上場したフリークアウト<6094>の初値は公開価格の3.5倍、27日に上場したメドピア<6095>は同2.3倍、レアジョブ<6096>は上場初日に初値が付かない程の人気化となった。

今週(6/30-7/4)の新興市場は、先週末にかけての大幅下落によって短期的に需給環境が悪化する中で、上値の重い展開となりそうだ。物色の柱となっていたミクシィ、サイバーダインともに直近高値から先週末まで約20%の急落となっており、個人投資家の需給環境はやや悪化していることが想定される。中小型株の活況度合いを表す売買代金がマザーズ市場、ジャスダック市場ともに減少傾向となっており、いったんは5月中旬から約1ヵ月続いた上昇相場の調整が想定される。当面は、マザーズ指数が25日線の位置する850ポイント水準で下げ止まるかどうかを見極めることになろう。

個別では、新興市場全体の雰囲気を左右するとみられるミクシィやサイバーダインなどの動向が、引き続き、注目されそうだ。とりわけ、ミクシィについては、ガンホー<3765>が昨年6月に大幅な株式分割を実施以降、調整色を強めたことを連想する投資家も多いとみられ、警戒感が高まる可能性がある。一方、サイバーダインについては、新成長戦略の発表で出尽くし感が意識されているものの、先週は野村が目標株価を1万5000円まで引き上げるなど、下値では中長期視点での資金流入期待は残る。

その他、先週末には総務省のSIMロック解除方針が伝わっており、日本通信をはじめ仮想移動体通信事業者(MVNO)関連や割安スマホサービス関連に物色が向かおう。また、7月2日にはVOYAGE GROUP<3688>がマザーズ市場に上場する。ネット広告に関するアドテクノロジー関連事業などを展開しており人気化は必至とみられ、ネット広告関連などに物色が波及するかも注目される。



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