米国株式市場見通し:4-6月期決算発表本格化、概ね好調な内容
[14/07/12]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
独立記念日の連休前にダウ平均が17000ドルの節目を上回り過去最高値を更新したこともあって、週初から利益確定の売りが広がった。4-6月期決算発表シーズンを前に企業業績を見極めたいとの思惑から手控える向きも多い。決算発表前で投資家の関心が企業業績に向かっており、ソーシャルメディア関連やバイオなど、利益の裏付けに乏しいモメンタム銘柄が売られた。週半ばになるとアルミニウム大手のアルコアが発表した4-6月期決算が、売上高及び調整後一株利益がアナリスト予想を上回ったことが好感され反発。FOMC議事録では10月に量的緩和を終了する可能性が高いとの見方を示したものの、概ね想定通りの内容でイベント通過の安心感から買いが広がった。しかしながら、週後半になるとポルトガル大手行の債務不履行懸念で欧州株式相場が下落したことが嫌気され軟調推移。週末にかけても、中東情勢の緊迫化や来週から決算発表が本格化することもあり積極的な買いが入りにくい状況となった。結局、週を通じて主要株式指数は下落した。
穀物大手のアーチャー・ダニエルズ・ミッドランドはスイスの食品原料メーカーの買収を発表して上昇。航空会社各社は競争激化による利益率の低下懸念が広がっていたものの、アメリカン航空やユナイテッド・コンチネンタルが相次いで好調な4-6月期の旅客実績を発表して上昇。一方でGPS機器のガーミンは、ゴープロやアップルの新製品が脅威になるとの見方を示し軟調推移。フローリング小売のランバー・リクイデーターズは業績下方修正を発表して急落となった。
今週から4-6月期決算が本格化する。先週発表されたアルミニウムのアルコアと大手行のウェルズ・ファーゴの決算は、概ね好調な内容であった。今週は、金融ではシティグループ(14日)、JPモルガン・チェース(15日)、ゴールドマン・サックス(15日)、USバンコープ(16日)、バンク・オブ・アメリカ(16日)、モルガン・スタンレー(17日)などの決算発表が予定されている。JPモルガン・チェースは、今月初めにダイモンCEOが咽頭ガンであることを公表しており、後継者問題が話題となりそうだ。シティグループは金融危機時の住宅ローン債券による損失などに関して、司法省と約70億ドルで和解間近と報じられており、同様の問題を抱えるバンク・オブ・アメリカと共に注目が集まるだろう。
ハイテクではポータルサイトのヤフー(15日)、オークションサイトのイーベイ(16日)、ITサービスのIBM(17日)、半導体のインテル(15日)、サンディスク(16日)、グーグル(17日)、AMD(17日)などの発表が予定されている。ヤフーは、来月にも上場する見通しとなっている中国アリババ・グループ株の約24%や、ヤフージャパン株の約35%を保有しており、資産価値から見た株価の割安感が見直される可能性がある。インテルやAMDはウィンドウズXPのサポート切れにともなうPC買い替え需要で好決算が予想されるが、今期以降の反動の見通しに注目が集まりそうだ。
その他では製薬のジョンソン&ジョンソン(15日)やファストフードのヤム・ブランズ(16日)、複合企業のGE(18日)などの決算発表も予定されている。
経済指標関連では6月小売売上高(15日)、6月鉱工業生産・設備稼働率(16日)、7月住宅市場指数(16日)、6月住宅着工件数(17日)などの発表が予定されている。また15・16日にはイエレンFRB議長が米上下院両院で半期に一度の金融政策報告について議会証言を行う見通しとなっている。先週発表されたFOMC議事録では、現在の経済情勢が続く場合は10月に量的緩和を終了するとの見解が示されており、今後は利上げのタイミングが焦点となるだろう。
(Horiko Capital Management LLC)
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