米国株式市場見通し:4−6月期決算がピーク、7割強の企業が予想上振れ
[14/07/19]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
週初は金融機関大手が相次いでアナリスト予想を上回る決算を発表、4−6月期の企業決算への期待感から買いが先行した。しかしながら、イエレンFRB議長が半年に一度の金融政策報告について議会証言を行い、株式や不動産など資産価格全体の水準は妥当だが、ソーシャル・メディアやバイオなどの一部は割高との見方を示したことで、ナスダック総合指数は下落に転じた。週半ばになると半導体大手インテルの決算が好感されたほか、メディアのタイム・ワーナーに対して20世紀フォックスが800億ドルでの買収提案を行ったことが明らかになった。但し投資家向けカンファレンスで複数の著名投資家が株式相場や連銀の金融政策にやや慎重な見方を示したことが上値を抑えた。週後半になるとマレーシア航空機がウクライナで墜落したとの報道をきっかけに下落。更にイスラエル軍がパレスチナのガザ地区に侵攻したことが明らかになると、地政学リスクの高まりへの警戒感から下げ幅を拡大した。しかし週末にかけてはウクライナやイスラエル情勢をきっかけとした売りが一巡し、主要企業決算が好感される形で反発する展開となった。結局、週を通じて主要株式指数は上昇。
大手行のシティグループやJPモルガン・チェース、投資銀行のゴールドマン・サックスが相次いで好決算を発表して上昇。半導体のインテルや検索大手のグーグルなども予想を上回る決算を発表して堅調推移となった。ソフトウェアのマイクロソフトは買収したノキアの事業統廃合などで1万8千人の人員削減を発表して上昇。一方でフラッシュメモリ半導体のサンディスクは慎重な売上見通しを示したことで軟調推移となった。ポータルサイトのヤフーは決算が予想を下回り下落。アパレルのマイケルコースは複数のアナリストが相次いで目標株価を引き下げ売られた。
ウクライナやイスラエル情勢は引き続き地政学リスクとして意識されるものの、今週ピークを迎える4−6月期決算発表が最大の注目点となる。
ハイテクでは半導体のテキサス・インスツルメンツ(21日)やクアルコム(23日)、携帯端末のアップル(22日)、ソフトウェアのマイクロソフト(22日)、ネット小売のアマゾン(24日)、交流サイトのフェイスブック(23日)などの決算発表が予定されている。先週、半導体のインテルが「Windows XP」のサポート切れによるPC買い替え需要を主因に好決算と強気の業績見通しを発表しており、マイクロソフトの決算発表にも期待が高まりそうだ。
ダウ構成銘柄では、マイクロソフトを含め、保険のトラベラーズ(22日)、飲料品のコカ・コーラ(22日)、エンジニアリングのユナイテッド・テクノロジーズ(22日)、ファストフードのマクドナルド(22日)、通信のベライゾン(22日)とAT&T(23日)、航空機のボーイング(23日)、建設機械のキャタピラー(24日)、決済ネットワークのビザ(24日)、化学のデュポン(22日)、化学製品のスリーエム(24日)の12社の決算発表が予定されている。
ファクトセット社の調査によると18日時点でS&P500構成銘柄のうち74社が第2四半期決算を発表しており、利益及び売上高とも7割強の企業が予想を上回った。特に金融セクターとヘルスケアセクターで好決算が相次いだことから、第2四半期の利益成長は年率5.5%と、6月末従来予想の4.9%より高い水準が見込まれている。但し売上高成長は年率3%のペースであり、米国企業の利益成長は引き続きコスト削減が主な要因と分析できる。
経済指標では6月消費者物価指数(22日)、6月中古(22日)及び新築(24日)住宅販売件数、6月耐久財受注(25日)などの発表が予定されている。5月の各住宅関連指標は相次いで好調な内容となっており、1−3月期に悪天候の影響で落ち込んだ需要の反動が6月も引き続き確認できるかどうかが注目だ。
(Horiko Capital Management LLC)
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