国内株式市場見通し:ジャクソンホール見極め、個人主体で政策関連株へ
[14/08/16]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
■ミクシィ反発で投資家心理が改善
先週の日経平均は上昇。地政学リスクが和らいだことを好感した米国市場の反発をキッカケに、週明けに350円超の大幅上昇から始まると、その後もこう着感が強まりつつも、5日続伸と週を通じてリバウンドの流れが継続している。上昇の一因としては地政学リスクへの警戒感が和らいだことのほか、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)改革への思惑が根強いなかでの押し目買い意欲の強さなどが背景にある。また、一番の立役者はミクシィ<2121>のリバウンドによる投資家心理の改善であろう。
前週(4-8日)の相場全体の下落局面により、先週については損失覚悟の換金売りなどに伴う需給悪化が警戒されていた。しかし、ミクシィが好決算と上期業績予想の上方修正を受けて連日のストップ高に。その後もLINEとの協業報道が追い風となる中、直近の下落部分を吸収し、分割後高値に接近する局面をみせている。このミクシィの急騰がコロプラ<3668>など他のゲーム関連株など中小型株に波及し、需給悪化懸念を払拭させている。
■地政学リスク警戒も今後は政策期待が高まりやすい
米国では予想を下回る経済指標が早期の利上げ観測を後退させたほか、4-6月期ユーロ圏GDPが横ばい、独が5四半期ぶりのマイナス成長となったことで欧州中銀が追加緩和を実施するとの思惑などから欧米市場がリバウンドをみせていることも、買い安心感につながっている。週末こそ、日経平均は25日線辺りでのこう着から売り買いが交錯していたが、お盆休み明けとなる今週以降の動向が期待されてくる。
決算発表が通過した。今後は9月の内閣改造を控えるなか、アベノミクスが加速するとの見方から、政策期待が高まりやすいだろう。そのため、政策に関連する銘柄への物色が次第に意識されることになるとみておきたい。外部環境ではロシアやパレスチナ情勢といった地政学リスクがくすぶることになり、米国などの動きをみても、ロシア・ウクライナ情勢に関する報道に振らされる相場展開が目立つ。それ故に市場の関心は国内に向かいやすく、GPIFの比率変更など需給面なども心理的な下支えになりそうだ。足元ではゲーム関連の好調が続いているが、投資家は次のテーマを探ることになろう。
■カジノ、自動運転などが本命か
基本的には首都インフラ整備を中心に、カジノ、水素エネルギー、自動運転、介護・医療など政府が推し進める政策等のテーマに資金が向かいやすいとみておきたい。特にカジノについては、今秋の臨時国会での「統合型リゾート推進法案(カジノ法案)」の成立を見据えて、企業の動きも活発化してきている。今後、市場は法案成立を織り込む流れに向かう可能性もありそうだ。改めて、これまで政府が打ち出してきた成長戦略を見直し、関連する企業等を再確認する必要があるだろう。
■ジャクソンホールに関心
経済指標では19日に7月の米消費者物価指数(CPI)、20日に米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録、21日から米連邦準備理事会(FRB)の下で米金融政策の一翼を担うカンザスシティー連銀経済シンポジウム(ジャクソンホール)が23日まで開催される。そのほか、21日に8月のHSBC中国製造業PMI、8月のユーロ圏製造業PMIの発表が予定されている。
イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長とドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁が22日にジャクソンホールで講演する予定であり、全体としてはこれを見極めたいとする様子見ムードが強まる可能性がある。そのため、物色については政策期待を高めつつも、個人主体による材料系の関連銘柄に向かいやすいだろう。
一方で、アリババ子会社のアリババ・ピクチャーズは、過去に不適切な会計処理を行っていた可能性があると報じられている。これを受けて指数インパクトの大きいソフトバンク<9984>へは仕掛け的な動きを警戒しておく必要があり、これが日経平均の重しになる可能性はありそうだ。
<TN>