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夏季休暇シーズンで週を通じて閑散取引となった。ウクライナ情勢を巡り、ロシア、ウクライナ、ドイツ、フランスの4カ国外相がベルリンで会談し、一部人道支援などで合意したことで週初は買いが先行。8月住宅市場指数が予想を上回ったことも好感された。更に今月26日にロシアとウクライナが首脳会談を行う見通しが報じられると、地政学リスクへの警戒感が後退し堅調推移となった。7月住宅着工件数が予想を上回ったほか、7月消費者物価指数も予想に一致しインフレが適度に抑制されているとの見方も支援材料となった。週半ばになると前回のFOMC(連邦公開市場委員会)議事録が公開され、良好な雇用情勢を背景に利上げのタイミングが早まる可能性があるとの見解が示されたことで一時弱含む場面もあった。しかしながら、週間新規失業保険申請数が予想より少なかったことや、7月中古住宅販売や7月景気先行指数が相次いで上振れしたことで続伸。S&P500指数は過去最高値を更新したほか、ナスダック総合指数もハイテクバブル時依頼となる14年ぶりの高値を付けた。週末にかけては、イエレンFRB議長のワイオミング州ジャクソンホールでの講演が概ねバランスの取れた内容となったため小動き。結局、週を通じて主要株式指数は上昇。

携帯端末メーカーのアップルはモルガン・スタンレーの買い推奨を受け、節目となる100ドルを突破、2012年以来となる過去最高値を更新した。地政学リスクの緩和を背景とした原油価格の低下で、デルタ航空やアメリカン航空など航空会社各社も上昇。銀行大手のバンク・オブ・アメリカは米司法省などと金融危機時の住宅ローン関連証券での不正に関し170億ドルの支払いで和解し上昇。ネットオークションのイーベイは決済サービスのペイパルの分離（スピンオフ）観測で堅調推移となった。一方で百貨店のシアーズは決算で赤字が拡大したことで下落。

9月1日がレイバーデーの祝日で、今週は投資家や市場関係者の多くも休暇中の為、全般に閑散取引となることが想定される。

26日にベラルーシでロシアとウクライナの首脳会談及びEU代表者との協議のが予定されている。混乱の続くウクライナ情勢に何らかの和平の道筋を見出すことができるかどうか焦点となる。市場参加者が少ないこともあり、中東情勢を含め、引き続き地政学リスクによる影響を受けやすい相場となるだろう。

経済指標では7月新築住宅販売（25日）、7月耐久財受注（26日）、6月住宅価格指数（26日）、8月CB消費者信頼感指数（26日）、4−6月期GDP改定値（28日）、7月中古住宅販売仮契約（28日）、8月シカゴ購買部協会景気指数(29日)などの発表が予定されている。先週発表された住宅関連の経済指標が相次いで予想を上振れたことから、今週の各住宅関連指標への期待も高まっている。4−6月期GDP改定値は、速報値の4.0%からやや低下が予想されている。

個別企業では、宝飾品小売のティファニー(27日)、アパレルのアバクロンビー＆フィッチ（28日）、ディスカウントストアのダラー・ゼネラル(28日)などの決算発表が予定されている。ダラー・ゼネラルはいわゆる「１ドルショップ」であるが、同業のダラーツリーが、ファミリーダラーに対して買収提案を行ったことに対抗し、これを上回る89億5千万ドルでの買収を提案した。しかしながら、21日にファミリーダラーの取締役会はこの買収提案を拒否し、ダラーツリーの買収案支持を表明した。1ドルショップは規模の利益が大きく、取り残された一社は競争力の観点から厳しい状況となる為、ダラー・ゼネラルは買収提示額の引き上げに動く可能性が高そうだ。

小売業界では、来月からの新学期を前に各社が「バック・トゥー・スクール」のセールを展開している。アバクロンビー＆フィッチは顧客層に占める学生の割合が高い事もあり、決算発表の内容とともに、足元の新学期セールの動向にも注目が集まりそうだ。

（Horiko Capital Management LLC）


＜TN＞