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米国株式市場見通し:FOMCでの量的緩和終了に注目、決算はピーク

注目トピックス 市況・概況

ITサービス大手のIBMが発表した冴えない決算が嫌気され売りが先行したものの、値頃感から買い戻す動きが広がった。欧州中銀が社債の買い入れを検討しているとの思惑で欧州株が上昇したことや、携帯端末メーカーで世界最大の時価総額を誇るアップルの好決算を受け、上げ幅を拡大する展開となった。週半ばになると、カナダの国会近くで銃乱射事件が起きたことが報じられ下落する場面もあったが、主要企業に好決算が相次いでおり堅調推移となった。ニューヨークで西アフリカから帰国した医師がエボラ出血熱に感染していることが明らかとなったものの、これまでのところ二次感染など被害拡大の可能性は低く、株価の反応も限定的にとどまっている。週末にかけても底堅い動きとなり、結局、主要株価指数は週を通じて上昇。

IBMは不採算の半導体事業を、15億ドルを支払うことでグローバルファウンダリーズに譲渡することで合意、47億ドルの税引前損失計上が響いて決算が予想を大幅に下回り急落となった。ネット小売大手のアマゾンは決算で、同社製スマートフォン「ファイアーフォン」の不振などで赤字拡大が嫌気され軟調推移となった。一方で携帯端末メーカーのアップルやポータルサイトのヤフーが好決算を発表して上昇。化学製品のスリーエムや建設機械のキャタピラーも予想を上回る決算を発表して堅調推移となった。決済ネットワークのビザは20%の大幅増配を発表して上昇。

今週は28〜29日に開催されるFOMC(連邦公開市場委員会)が注目だ。現在150億ドル規模で実施している量的緩和の終了を今回の会合で決定する見込みだ。過去2回の量的緩和終了局面で株価が下落したことを懸念する見方もあるが、長期金利は年初から低下しており債券と比較して株式の割安が目立っている。但し9月中旬以降の株式相場の変動率が高まっていることを受け、将来の利上げへの考え方や、足元の米国経済の状態について、声明文でどのような認識が示されるかが注目される。

7−9月期主要企業決算は、今週ピークを迎える。24日集計時点でS&P500指数構成銘柄のうち208社が第3四半期決算発表を終了し、75%が予想を上回った。9月末時点で4.6%まで低下していた第3四半期の利益成長見通しも、5.6%まで改善しており、決算及び企業業績の見通しは概ね良好だ。

今週は製薬大手のメルク(27日)、ファイザー(28日)、ギリアド・サイエンシズ(28日)、交流サイトのフェイスブック(28日)、リンクトイン(30日)、決済サービスのビザ(29日)、マスターカード(30日)、コーヒーチェーンのスターバックス(30日)、アパレルのラルフローレン(29日)、コーチ(28日)、資源大手のフリーポート・マクモラン(28日)、ニューモント・マイニング(30日)などの決算発表が予定されている。

ファイザーは先週110億ドルの大規模自社株買い枠の設定を発表した。一部で英アストラゼネカに対して新たな買収提案を行うとの見方もあったが、その可能性は大きく後退したと言えそうだ。交流サイトのフェイスブックはモバイル向け広告事業の成長ペースが焦点となるだろう。決済サービスのビザとマスターカードは、ウクライナ問題に関連したロシア国内での規制の影響と、今月から始まったアップルの決済サービス「Apple Pay」の状況に注目が集まるだろう。

経済指標では8月S&Pケース・シラー住宅価格指数(28日)、10月消費者信頼感指数(28日)、7−9月GDP速報値(30日)、10月シカゴ購買部協会指数(31日)などの発表が予定されている。GDPは年率換算で3%成長が見込まれている。年末商戦期を控えてGDPと同時に発表される個人消費にも注目が集まるだろう。

(Horiko Capital Management LLC)




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