米国株式市場見通し:全米小売協会2014年の年末商戦の予想は強気予想
[14/11/15]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
前週末にかけてダウ平均やS&P500指数が過去最高値を更新していたことから利益確定の売りが上値をおさえる一方、企業決算が好感され週初は小幅上昇する展開となった。11日は退役軍人の日(ベテランズデー)で債券市場が休場となっていることもあり、終日小幅な値動き。週半ばになると外国為替相場での不正操作に関して欧米の主要6行が、米英及びスイスの監督当局と43億ドルの支払いで和解したことから、金融セクターを中心に売りが広がった。小売大手の好決算が好感されたほか、企業買収・合併の発表が相次いでいることも好感され堅調推移となった。但し原油先物価格が4年ぶりに75ドルを割り込んだことが上値を抑える要因となった。週末にかけては10月小売売上高が予想を上回ったほか、11月ミシガン大学消費者信頼感指数も上振れしたことで、年末商戦への期待感から堅調推移。結局、主要株式指数は週を通じて上昇。ダウ平均株価とS&P500指数は過去最高値を更新した。
住宅メーカーのトールブラザーズやDRホートンが予想を上回る決算や強気の業績見通しを示したことで上昇。携帯端末メーカーのアップルはアナリストの目標株価引き上げを受け、過去最高値を更新。中国電子商取引大手のアリババ・グループは11月11日の「独身の日」に90億ドルを超す売上高を記録して買われた。ディスカウントストアのウォルマートは予想を上回る決算を発表して上昇。アニメーション制作のドリームワークス・アニメーションは玩具メーカーのハズブロとの合併を検討しているとの報道で急騰となった。オイルサービスのハリバートンは同業のベーカー・ヒューズの買収観測で上昇。一方でオバマ大統領が連邦通信委員会(FCC)に対してインターネット通信の中立性の規制強化を要請したことで、タイム・ワーナー・ケーブルやコムキャストなどケーブルテレビ各社が軟調推移となった。
今週は小売各社の8-10月期決算が多数予定されている。アパレルのアーバン・アウトフィッターズ(17日)やギャップ(20日)、ホームセンターのホームデポ(18日)、ディスカウントストアのTJX(18日)、ターゲット(19日)、ダラーツリー(20日)などの決算発表が控えている。先週14日に発表された10月小売売上高は、9月が予想外の前年比減少となっていた為、警戒感が広がっていたものの、予想をやや上回る0.3%増となった。
10月7日に全米小売協会(NRF)が発表した2014年の年末商戦の予想は2013年の実績(3.1%)や過去10年の平均(2.9%)を上回る、前年比4.1%増の強気の売上高成長率が示された。予想時点から更にガソリン価格が下落し4年ぶりの低水準となっていることや、先行指標である消費者信頼感指数が7年ぶりの高水準にあることを考えれば、更に上振れする可能性も高い。しかしながら、小売セクターへの投資には注意が必要だ。既に小売各社の株価は年初から低迷しているものが少なくないが、ネット販売業者との価格競争が一段と激しさを増しており、利益率を削ってでも売上高や集客を確保せざるを得ない状況にある。今年の年末商戦では、売上高の動向以上に利益率が確保できているかが、小売各社の株価に大きなインパクトを与えることになりそうだ。
経済指標では11月NY連銀製造業景気指数(17日)、10月鉱工業生産・設備稼働率(17日)、10月生産者物価(18日)、10月消費者物価(20日)、10月CB景気先行指数(20日)などの発表が控えている。また住宅関連では11月住宅市場指数(18日)、10月住宅着工件数(19日)、10月中古住宅販売(20日)の発表が予定されている。先週、住宅メーカーのトールブラザーズやDRホートンが、予想を上回る決算や強気の業績見通しを示した。10月住宅ローン金利が2013年6月以来となる低水準になったことや、借入時に必要な最低限の頭金を3%にまで引き下げる方向で検討されていることが追い風となったようだ。
19日は、10月28〜29日開催のFOMC議事録が公開される。大方の予想通り量的緩和の終了を決定し、声明文でも現行のゼロ金利を「相当期間」維持するとの文言が残されたものの、労働市場の判断を上方修正したことがサプライズとなった。議事録では労働市場の判断について、どのような議論があったかが注目されそうだ。
(Horiko Capital Management LLC)
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