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米国株式市場見通し:感謝祭で閑散取引、ブラックフライデーには要注目

注目トピックス 市況・概況

週初は日本の7-9月期GDPが予想外のマイナス成長となったことで売りが先行したものの、大型買収の発表が相次いだことが好感され、緩やかに上昇に転じる展開となった。但しNY原油先物価格が再び75ドル台まで低下し、エネルギー関連銘柄が上値を抑えた。その後、日本株が消費増税の先送りや衆院解散で反発したほか、欧州株も独ZEW景況指数の改善やドラギ欧州中銀(ECB)総裁が追加緩和に前向きの発言をし上昇した流れを受け続伸。週半ばになると10月28-29日開催分の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録でインフレ率低下(デフレ)への懸念が示され、やや売られる場面もあったが、小売企業に好決算が相次いでおり、年末商戦への期待感から堅調推移となった。週末にかけても、中国の予想外の利下げや欧州中銀の追加緩和を受けて続伸。結局、週を通じて主要株式指数は上昇。ダウ平均とS&P500指数は過去最高値を更新した。

製薬のアラガンは、同業のアクタビスによる総額660億ドルの買収に合意し上昇。油田サービスのベーカー・ヒューズもハリバートンによる買収に合意し堅調推移となった。ディスカウントストアのターゲットや、オフィス用品小売のステープルズ、家電小売のベストバイなどが相次ぎ予想を上回る決算を発表して堅調。携帯端末メーカーのアップルは、複数のアナリストの投資判断引き上げを受けて過去最高値を更新した。一方でビジネス向けソフトウェアのセールスフォース・ドットコムは予想を上回る決算を発表したものの、慎重な業績見通しを示したことで軟調推移。電気自動車のテスラ・モーターズは、モルガン・スタンレーが利益や販売台数の見通しを引き下げたことで下落した。

今週は27日がサンクスギビング(感謝祭)の祝日で、翌28日も午後1時までの短縮取引となる。市場関係者や投資家の多くも休暇に入ることから、週を通じて閑散取引となることが想定される。

感謝祭明けの金曜日(今年は28日)は多くの小売店が1年を通じてようやく黒字に転じるという意味で「ブラックフライデー」と呼ばれ、最も盛大なセールが実施されることで知られる。しかしながら近年は、多くの小売店が感謝祭当日にも営業したり、プリセールと称して11月中旬から前倒ししてセールを実施する例が増えている。先週発表された小売各社の決算ではターゲットやベストバイなどが予想を上回る決算を発表したことから、年末商戦には楽観的な見方が増えている。しかしながら、セール期間の長期化や感謝祭当日の営業は、小売店にとってはコスト増の要因となる。また小売最大手のウォルマートが、アマゾンなどオンライン小売業者や競合店が同社より低価格で販売している商品があれば、同額まで値引きする仕組みを導入するなど、従来以上に価格競争が激しさを増しており、年末商戦では売上高の動向以上に、利益率を確保できているかどうかが焦点となるだろう。

経済指標では7−9月期GDP改定値や11月消費者信頼感指数(25日)、シカゴ購買部協会景気指数(26日)、10月新築住宅販売(26日)などの発表が予定されている。一時弱含んでいた住宅市場に再び改善の兆しが広がっており、10月新築住宅販売の動向が注目だ。

主要株価指数が高値更新を続けており、一部の投資家は上昇ペースの早さに警戒感を示している。しかしながら、中間選挙を挟んだ大統領任期2年目の10月から3年目の4月までの株価上昇率が特別高いというアノマリーが知られているほか、米国以外の日本や中国、欧州などで金融緩和が続き、米国に資金が流入しやすい環境にある。また原油価格の低下によって個人消費が押し上げられると共に、製造業などではエネルギーコストなどの低下による恩恵が期待できる。これらの諸条件を勘案すると、少なくとも年末から来春にかけても、引き続き米国株式相場は堅調に推移する可能性が高そうだ。

(Horiko Capital Management LLC)


<TN>

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