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国内株式市場見通し:師走相場入り、個人はIPOで掉尾の一振への意識へ

注目トピックス 市況・概況
■原油安や月末ドレッシングで高値圏での取引に

先週の日経平均は上昇。連休明けの東京市場は続伸で始まった。前週末に中国が予想外の利下げを発表、これを好感した欧米市場の上昇を受けて始まった。しかし、日経平均は心理的な節目の17500円には届かず。11月SQ値(17549.60円)が依然として年初来高値を上回っている状況であり、幻のSQであることも、上値追いを慎重にさせた。

その後は、米国では感謝祭の祝日を控えていることから商いが膨らみづらいほか、衆院選の行方を見極めたいとのムードもあり、こう着感の強い相場展開が続くなか週後半には17200円台まで下げる局面もみられた。TOPIXイベントなどの需給に振らされた面もあった。

ただ週末は10月の鉱工業生産指数が、前月比0.2%上昇とコンセンサス(0.6%低下)を上回ったことが好感された。また、石油輸出国機構(OPEC)が27日の総会で、原油生産量を据え置くことを決めた。OPECの協調体制は乱れたままであり、原油安は長期化する可能性が高まっているとの見方の中、原油安メリット銘柄への物色に向かわせた。月末のドレッシング買いなども入り、日経平均は狭いレンジながらも、週間の高値圏での取引に。

■師走相場入り、個人の中小型株物色が活発に

今週は名実ともに師走相場入りとなる。2日に衆院選が公示されることで、選挙相場への思惑が改めて確認されそうである。11月29日にはネット討論会が行われたが、12月1日には与野党8党党首による討論会が開催される。与党優位との見方が高まる状況の中、長期政権を意識した物色に向かわせよう。また、年末を迎え、掉尾の一振への意識が高まりやすい中、個人主体の売買が活発化することになろう。12月はIPOが28社予定されている。今年1番のパフォーマンスを求め思惑的な動きも出てくることになるだろう。足元で調整している直近IPO銘柄などを見直す動きも強まる可能性がありそうだ。

■トヨタ戦略が物色対象に

経済指標では、国内で1日に7-9月期の法人企業統計調査、11月の新車販売台数、2日に毎月勤統計、5日に10月の景気動向指数の発表が予定されている。新車販売台数で個人消費の底堅さが示されれば、景気回復期待が高まる可能性がある。なお、トヨタ<7203>は高級ブランド「レクサス」で4年ぶりに復活させたクーペの新型車「RC F」の受注台数が、発売から1ヶ月で、月間目標の約30倍にあたる約900台になったと発表している。足元ではトヨタの戦略が物色対象に影響を与えており、市場の反応が注目される。

■米経済指標やECB理事会に注目

米国では経済指標の発表が多い。1日に11月の米ISM製造業指数、3日に米地区連銀経済報告(ベージュブック)、11月の米ADP雇用報告、5日に11月の米雇用統計が発表される。雇用統計の予想は、非農業部門雇用者数は+22.5万人、失業率は5.8%であり、雇用者数は10月実績(+21.4万人)を上回るとみられている。そのほか、ブラック・フライデー、サイバー・マンデーなど年末商戦の動向も手掛かり材料になりそうである。今週発表される米国の経済指標は全体として米経済の堅調さを示す可能性が高いとみられ、米国市場の上昇なども日本株市場への追い風になりそうだ。

そのほか、4日に欧州中央銀行(ECB)理事会が開催される。ドラギ総裁は先日の講演で、低迷しているユーロ圏の物価をできるだけ早くテコ入れするために「やるべきことをやる」と表明。「量的緩和」の実施の時期や手法を詰めると伝えられているなか、緩和期待が相場の下支え要因になろう。

もっとも、次第に雇用統計を見極めたいとのムードにつながる展開となる可能性がコンセンサスに近いだろう。日経平均は幻のSQをクリアするまでは上値追いには慎重である。とはいえ、こう着となったとしても、個人主体の中小型株やテーマ性のある材料株への物色はより活発になるとみておきたい。




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