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米国株式市場見通し:低いバリュエーション、低金利、安定した利益成長率

注目トピックス 市況・概況

週初は、感謝祭週末の小売売上高が前年同期比で11%下落したことに加えて、中国やユーロ圏の11月製造業購買担当者景気指数(PMI)が低調であったことが嫌気され、軟調推移となった。週半ばにかけては、ECB(欧州中銀)理事会を4日に控え、ドラギECB総裁が追加金融緩和に踏み切る可能性があるとの見方から欧州株が強含み、この流れを受けて米国株も上昇。11月新車販売台数が堅調であったことや、大規模なM&A(合併・買収)の発表や観測も投資家心理の改善に繋がり、強い値動きとなった。週半ばに入っても11月非製造業景況指数が市場予想を上回ったことや、米地区連銀経済報告(ベージュブック)が、全ての地域で雇用が拡大したなど景気回復の継続を示す内容であったことから堅調を維持。週末にかけては、ドラギECB総裁の発言を受けて一旦弱含んだが、米11月雇用統計で雇用者数が市場予想を大きく上回ったことを受けて一段高となった。結局、週を通じて主要株式指数は上昇。ダウ平均およびS&P500指数は過去最高値を更新した。

自動車大手のGMとフォードが、予想を上回る11月の新車販売台数を発表して上昇。製薬のアバニア・ファーマシューティカルズは、大塚製薬による買収合意が明らかになり大幅高。英石油大手のBPは、英蘭系同業のロイヤル・ダッチ・シェルが同社の買収に関心を示しているとの噂を受けて堅調推移となった。また、アパレル大手のアバクロンビー&フィッチは、四半期決算が予想ほど悪化していなかったことで買われた。一方、年末商戦の出足が低調との見方から百貨店のJCペニーやネット小売のアマゾンが下落。サウジアラビアが対米・アジア向け原油価格を大幅に引き下げるとの発表を受けた原油相場の下落で、エクソン・モービルやシェブロンなどのエネルギー関連企業が軟調推移となった。

11月雇用統計が予想を大幅に上回るなど、アメリカ景気の好調さが際立ってきている。その一方、ドル高や原油価格安の影響でインフレ率は比較的長い間低位安定することが期待され、ビジネスにとっても株式にとっても理想的な環境と言える。にもかかわらずS&P500指数の株価収益率は17倍台(2015年予想利益ベース)にとどまっており、これは高金利時代を除けば歴史的平均を下回る。低いバリュエーション、低金利、安定した利益成長率、そしてその期待に支えられる形で、今後も安定した株価上昇が期待できるそうだ。

NY原油先物相場は強い米雇用統計の発表にもかかわらず続落し、先週は約5年ぶりの安値で取引を終えた。短期的には石油輸出国機構(OPEC)の減産見送りや、サウジアラビアが提示したアジア向け原油価格の大幅な引き下げが一因と考えられている。ただ今回の原油価格下落の要因の殆どは供給にあり、2008-9年のように、下落要因の殆どが需要にあった時期とは根本的に異なる。その意味では中長期的な「低原油価格時代」に備えて投資戦略に見直す必要があるだろう。

今週も引き続き、自動車部品・アクセサリー小売のオートゾーン(9日)、住宅建設のトール・ブラザーズ(10日)、会員制卸売りのコストコ(10日)、デザインソフト大手のアドビ・システムズ(11日)などの企業決算が予定されている。

経済指標では11月財政収支(10日)、11月小売売上高(11日)や11月輸入物価指数(11日)、11月生産者物価指数(12日)、12月ミシガン大学消費者信頼感指数(12日)などが予定されている。感謝祭週末の小売店舗売上高が前年同期比で減少したと報じられているが、一方でオンライン販売高は急成長しており、年末商戦の滑り出しは良好と見ることが出来る。11月小売売上高も高い伸びを記録することが予想される。

(Horiko Capital Management LLC)


<TN>

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