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米国株式市場見通し:FOMC開催、声明文に注目

注目トピックス 市況・概況
週初は雇用統計を受けた売りが一巡し、足元の米国経済や雇用情勢の改善を見直す動きが広がり、堅調推移となった。ダウ平均は再び18000ドルの節目を回復した。しかしながら週半ばに入り、ユーロ圏財務相会合における協議に進展が見られず、ギリシャ債務問題への懸念が強まったことから欧州株が全面安となり、対ユーロでドル高が進行したことが嫌気され下落。
1月雇用動態調査(JOLTS)で求人数が14年ぶりの高水準となり、早期利上げに対する警戒感が強まったことや、NY原油先物相場の下落、中国の2月固定資産投資や鉱工業生産の鈍化が嫌気され、下げ幅を拡大した。週末にかけては、連邦準備制度理事会(FRB)によるストレステストでほぼ全行の資本計画が承認されたことを受け、金融関連銘柄を中心に買いが広がる場面もあった。しかし2月卸売物価指数(PPI)や3月ミシガン大学消費者信頼感指数が市場予想を下回り再び下落する展開となった。結局、週を通じて主要株価指数は下落。



非鉄のアルコアは、航空・自動車向けチタン製品大手のRTIインターナショナル・メタルズの買収を発表して売られた。携帯端末のアップルは、腕時計型端末「アップルウォッチ」の売れ行きへの警戒感や、iTunesストアのシステム障害が嫌気され、軟調推移となった。半導体のインテル(INTC)はビジネス向けデスクトップPCの需要鈍化などを理由に1-3月期の売上高見通しを約10億ドル下方修正したことが嫌気され、下落した。一方でアパレル小売のアーバンアウトフィッターズは、四半期決算内容が好感され買われた。ストレステストに合格したモルガン・スタンレーやシティ・グループは増配や自社株買いの意向を発表し、堅調推移となった。



17〜18日にかけてFOMC (連邦公開市場委員会) が開催され、会合終了後にはイエレンFRB議長の会見も予定されている。市場では6月の利上げが予想されており、今回のFOMCでは、利上げのタイミングに関して「辛抱強くなれる」との文言が声明文から削除されるかどうかに注目が集まる。先日発表されたベージュブックや雇用統計は概ね良好な内容であったが、小売売上高や住宅関連指標には軟調な内容が散見された。インフレ見通しを巡る足元の不透明感が強く、早期の利上げに懐疑的な見方もある。



経済指標では2月鉱工業生産・設備稼働率(16日)、3月住宅市場指数(16日)、2月住宅着工・建設許可件数(17日)、2月景気先行指数(19日)などの発表が予定されている。人件費と材料費の高騰により建設業界での利益率が悪化しているものの、住宅市場が活発化する春先に向けて、改善の兆しを確認できるかに注目したい。



個別企業では、スポーツ用品のナイキ(19日)、住宅メーカーのレナー(19日)、宝飾品小売のティファニー(20日)などの決算発表が予定されている。ティファニーは、ドル高による観光客の需要減少などから年末商戦での米国売上高が落ち込んだほか、1月に通期見通し(14年2月-15年1月)を下方修正した。その後もドル高が一段と進行しており、軟調な決算が予想される。


米国政府の債務上限は、昨春の議会の合意により現在撤廃されているものの、今週15日が期限となっている。政治的な新たな合意がなければ、現在の約18.1兆ドルの債務残高が債務上限となる。債務上限問題に関しては、過去の事例からも最終的には合意に至るものの、2011年のように合意時期がギリギリになれば米国債格下げのような問題が起こらないとも限らない。6日、ルー財務長官は議会の与野党幹部に書簡を送り、財政運営に支障がでないよう債務上限を引き上げるよう協力を求めた。期限までに議会が対応しない場合は、州・地方政府向け証券(SLGS)の発行を停止するなどの措置を講じて、当面の資金繰りを続けていくことになる。議会予算局(CBO)は今年の10、11月頃まで資金を捻出できる見通しを示しており、最悪の状況でも、当分の間はデフォルトを回避できるが、民主党オバマ政権に対して上下院議会は共和党が掌握しており、膠着状態が長期化すれば株式相場にとって不透明要因となるだろう。





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