為替週間見通し:日米政権によるドル高・円安抑制の思惑
[15/04/18]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
■ドル・円は下落、米早期利上げ観測の後退を嫌気したドル売り
先週のドル・円は下落。120円84銭から一時118円57銭まで下落した。3月の米小売売上高、鉱工業生産、住宅着工件数などは市場予想を下回ったことで米連邦準備理事会(FRB)の早期利上げ観測は後退した。17日のNYダウが大きく下げたことも嫌気されており、日米金利差の拡大を見込んだ投資家のドル買い・円売りは縮小した。取引レンジは118円57銭-120円84銭。
■ドル・円はやや弱含みか、日米政権によるドル高・円安抑制の思惑も
今週のドル・円はやや弱含みか。28日に予定されている日米首脳会談を控えてドル高・円安抑制への警戒感が浮上している。ドル高が進行した場合、米国内で雇用減少への懸念が高まり、環太平洋経済連携協定(TPP)の早期締結に影響が及ぶとの見方が出ている。
米議会の超党派議員は16日、TPP交渉を支援する「大統領貿易促進権限(TPA)」法案を上下両院に提出した。法案可決の可能性はあるが、日米政府はドル高・円安の進行を当面抑制するとの思惑が浮上しており、ドル反発は抑制される可能性がある。また、ギリシャが債務不履行に陥る可能性が消えていないことや米早期利上げ観測が後退していることは、リスク選好的な円売りを抑制する一因となる。
【貿易促進権限法案】
オバマ米大統領に環太平洋経済連携協定(TPP)などの通商交渉権限を一任する「大統領貿易促進権限法案」が米議会で審議される。貿易促進権限法案には、通商交渉相手国の為替操作防止に向けた条項が盛り込まれているものの、法案が成立した場合、TPP交渉が進展する可能性が高まることになり、ドル高・円安の要因となる。
【ユーロ圏財務相会合】(24-25日)
国際支援団によるギリシャ政府に対する融資実行の可能性が低下していることで、ギリシャが債務不履行に陥る可能性は残されている。国際支援団は、ギリシャが債務不履行に陥っても、ユーロ圏にとどまることが可能となる措置を検討している模様で、第3次救援プログラムの可能性に注目することになる。
【日米政権のドル高・円安抑制スタンス】
28日の日米首脳会談に向けて、日米政権によるドル高・円安を抑制する動きが警戒されている。安倍政権は、26日の統一地方選挙に向けた地方企業への配慮、ドル高で打撃を受けている米国の製造業や環太平洋経済連携協定(TPP)を審議する米国議会への配慮から、円安を抑制する姿勢を強めている。米国議会では、ドル高への警戒感が高まっており、貿易促進権限法案が可決・成立するか否か注目されている。
・予想レンジ:116円00銭-121円00銭
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