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米国株式市場見通し:FOMCや日米首脳会談に注目

注目トピックス 市況・概況

週初は中国人民銀行が預金準備率を引き下げたことで、世界経済の減速懸念が後退したことが好感され、買いが先行。週半ばに入り、医薬品・バイオテクノロジーセクターでの買収提案が好感された。利益確定の売りや原油相場の下落によって上げ幅を縮小する場面もあったが、中国政府が国内のカード決済業務への外国企業の参入を認める方針を示唆したことが好感され、再び上昇に転じた。3月中古住宅販売件数が市場予想を上ぶれたことも上げ幅を拡大する要因となった。週末にかけて、為替相場でドル安が進行したほか好調なハイテク株決算を受けて、上げ幅を拡大した。結局、週を通じて主要株価指数は上昇。ナスダック総合指数は終値ベースで2000年3月以来となる過去最高値を更新した。

製薬のマイランはイスラエルの同業テバ・ファーマスーティカル・インダストリーズによる買収が報じられ上昇。カード決済ネットワークのビザとマスターカードは、中国でのカード決済業務への参入期待から上昇。ファストフードのマクドナルドは、決算内容は低調であったものの、5月に発表する再建策への期待から堅調推移。検索大手のグーグルは、米国内での携帯通信サービスを発表し上昇。航空会社のサウスウエスト・エアラインズは、旺盛な航空旅客需要や燃料価格の下落で大幅増益となり、堅調推移。一方で、航空機メーカーのボーイングは、決算で売上高が市場予想を下振れたことから下落。ファストフードのチポトレ・メキシカン・グリルは、決算で売上成長率の鈍化が嫌気されて軟調推移。自動車大手のゼネラル・モーターズは、増収増益となったものの、市場予想に届かず下落した。

ピークは通過したものの、今週から来週にかけても多数の決算発表が予定されている。今週は、携帯端末のアップル(27日)、製薬のメルク(28日)やファイザー(28日)、短文投稿サイトのツイッター(28日)、自動車のフォード(28日)、決済ネットワークのマスターカード(29日)及びビザ(30日)、石油のエクソンモービル(30日)などがある。来週はケーブルテレビのコムキャスト(4日)、携帯電話のスプリント(5日)、娯楽・メディアのウォルト・ディズニー(5日)、スーパーマーケットのホールフーズ(6日)、電気自動車のテスラ・モーターズ(6日)が注目される。

ドル高やエネルギーセクターの不振にもかかわらず、ハイテクやヘルスケアセクターで増益決算が発表され、先週はナスダック総合指数が史上最高値を更新するなど主要株価を押し上げている。しかし、増益にもかかわらず売上高が市場予想を上回った企業は少ないようだ。そのからくりは、自社株買いにあるとの見方が強い。ソシエテ・ジェネラルによると、昨年の米国企業の自社株買い規模は5,530億ドルにも及び、全体の企業業績の伸び率は自社株買い要因だけで2.3%押し上げられているという。

4月24日時点のファクトセット社の集計によるとS&P500構成銘柄の201社が決算発表を終了し、73%が利益、47%が売上高のアナリスト予想を上回った。S&P500全体では、先月末時点で4.6%の減益となる可能性が指摘されていたが、2.8%の減益見通しへと改善している。ヘルスケアや金融セクターが、それぞれ14.8%、12.5%と先月末時点の予想を上回る利益成長となったことが要因だ。

経済指標では4月消費者信頼感指数(28日)、1-3月期GDP速報値(29日)、3月個人所得・支出(30日)、4月ISM製造業(1日)などの発表が予定されている。1-3月期GDPは悪天候などの影響もあって前期比年率1.0%成長へと鈍化が予想されている。来週は3月製造業受注(4日)、4月ISM非製造業(5日)、4月ADP雇用統計(6日)、4月雇用統計(8日)などの発表も予定されている。4月雇用統計では、失業率が前月の5.5%から低下を示すかどうかが焦点となりそうだ。

28-29日にかけて連邦公開市場委員会 (FOMC) 、28日に日米首脳会談が開催される。FOMCでは、政策変更の可能性は低いが、声明文などから利上げ時期のタイミングを探ることになりそうだ。国内の物価目標達成が遠のき、足元の経済指標で低調な内容が散見される中で、米国景気が一時的に腰折れしているのかを見極めたい。

日米首脳会談では、環太平洋経済連携協定(TPP)の動向が注目されており、大筋合意となれば穀物メジャー・農業機械銘柄の上昇、自動車銘柄などの下落が考えられる。しかし、16年の大統領選挙を見据えた動きが活発化しているほか、安価なアジア労働力を背景に雇用情勢が悪化する懸念もあり、議会通過には懐疑的な見方もある。

(Horiko Capital Management LLC)


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