国内株式市場見通し:株主総会や成長戦略に対する期待、連騰記録更新なるか
[15/05/31]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
■日経平均は11連騰
先週の日経平均は上昇。15年ぶりの高値水準を更新するなか、5月15日からの連騰記録は11営業日まで伸びている。米国の早期利上げ観測の再燃によって円相場が円安に振れて推移するなか、週初に20400円を回復。25日の米国市場がメモリアルデーの祝日で休場となり商いは膨らみづらい需給状況であったが、出遅れているセクターへの物色が強まっていた。その後もギリシャ不安などを受けた海外株安の流れから、利益確定の売りが先行する局面がみられたが、27日に20500円を回復すると、28日には20655.33円まで上げ幅を拡大させている。
■9月の米国利上げがコンセンサス
1ドル124円台まで円安が円相場は、週末には麻生財務・金融相の過熱発言等を受けてやや円安基調が抑えられる局面もみられた。しかし、急ピッチの値動きに対する当然の発言であり、地合いが変わることはなさそう。また、毎年夏にワイオミング州ジャクソンホールで開かれる年次経済シンポジウムに、今年はイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長が参加しないことが明らかになった。利上げ開始のタイミングとも取れるため、FOMC(連邦公開市場委員会)は早くて9月、12月には利上げに踏み切るとの見方がコンセンサスといったところであろう。
更に、今秋には郵政上場が控えており、需給変動が起きやすい時期でもある。このタイミングで日銀による追加緩和政策への思惑が高まりやすく、円安トレンドは継続。日経平均は過熱感というよりは買い疲れ感といったところであり、足元の調整では押し目拾いのスタンスを継続させたいところである。
■米雇用統計やギリシャ危機
今週は米国で雇用統計(予想、非農業部門雇用者数が前月比+22.3万人、失業率は5.4%)の発表が予定されており、それまでに発表される経済指標の結果に振らされる可能性がある。29日に発表された1-3月期の実質国内総生産(GDP)改定値は前期比年率換算で0.7%減少し、速報値の0.2%増から下方修正された。ただし、市場関係者の見方としては1.0%減を予想していたこともあり、これを受けた29日の米国市場の下げは織り込み済みである。また、4-6月は回復が見込まれており、今回のマイナス成長は短期にとどまると予想されている。
また、今週はギリシャ問題に対しても影響を受けやすいだろう。5日に期限を迎える国際通貨基金(IMF)への融資返済を見送り、月末にまとめて返済する可能性が出てきたと伝えられている。ギリシャ懸念を背景とした欧州市場の動向などが重石になりそうだ。
■日経平均の連騰記録
しかし、日本株市場は良好な需給状況の中、押し目待ちの買い意欲は強いであろう。5月第3週(5月18日〜22日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物株を3週連続で買い越し、先物も4週ぶりに買い越した。先週も海外投資家の買いが日経平均の連騰記録に寄与した可能性がある。海外勢の買い越し基調が続く中、日経平均は2000年高値が射程に入っており、これを意識したスタンスが強まりやすい。29日の海外株安の流れを受けて、週初は利食いが先行することになろうが、それでも連騰記録を伸ばすような展開ともなれば、先高期待は一段と強まることになる。1986年3月以来の12連騰、1988年2月以来の13連騰、1961年1月以来の14連騰を目指す展開も意識されやすい。
■株主総会や政府の成長戦略に対する期待
また、6月から企業統治指針(コーポレートガバナンス・コード)が導入される。これは政府の成長戦略の一環として位置付けられており、「攻め」の経営判断を後押しする仕組みとして注目される。株主還元策に積極的な動きがみられるなか、株主総会を経て、投資家の期待感が再燃する可能性がある。また、6月に改訂される政府の成長戦略に対する思惑も高まりやすいだろう。そのため自動運転や次世代医療、女性の活躍、地方創生などに関連するテーマ株などへの循環物色も意識される。
■7日にG7サミット
その他、経済指標では1日に1-3月期法人企業統計調査、5月の中国製造業PMI、5月の米ISM製造業景況指数が発表される。3日には欧州中央銀行(ECB)が金融政策を発表、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、4月の米貿易収支、5月の米ISM非製造業景況指数が発表される。5日にユーロ圏の1-3月GDP(域内総生産、改定値)、5月の米雇用統計の発表が予定されている。そのほか、7日に主要国首脳会議(G7サミット)がドイツのバイエルン州エルマウ城で開かれる。
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