欧米為替見通し:ギリシャの危機一髪とヘアカット
[15/06/19]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 市況・概況
本日19日の欧米市場のドル・円は、本日の欧州中央銀行(ECB)によるギリシャへの緊急流動性支援(ELA)に関する緊急電話会議や22日のユーロ圏緊急首脳会議への警戒感から上げ渋る展開が予想される。
ギリシャの金融機関から預金(約1300億ユーロ)の流出が加速していることで、本日、欧州中央銀行(ECB)が緊急電話会議で緊急流動性支援(ELA)(841億ユーロ)の増額を協議する。
22日のユーロ圏緊急首脳会議を控えて、欧州中央銀行(ECB)がギリシャをデフォルト(債務不履行)に追い込む決定はないと思われるが、リスクシナリオとして、ヘアカット(担保価値の割引率)の拡大が警戒される。
ヘアカットとは、債券や株式などの証券を融資の担保として差し出す際に、その価格が将来的に下落するリスクをヘッジするために一定割合を差し引いて融資することであり、ギリシャへのヘアカットの拡大は、命綱を断つことになる。
ギリシャ政府と国際債権団は、6月30日の救済策や国際通貨基金(IMF)への債務返済の期限に向けて、どちらが妥協するかというチキンレースを展開している。 ツィプラス・ギリシャ首相やバルファキス・ギリシャ財務相は、ギリシャがデフォルト(債務不履行)に陥りユーロ圏から離脱した場合、ポルトガルやスペインなどの重債務国が追随する可能性が高まり、ユーロ崩壊となりかねないことで、債務削減や6ヶ月程度の期限延長で妥協できると踏んでいる。
すなわち、髪の毛一本の違いで危機に陥るか否かの瀬戸際、危機一髪に追い込まれているのは、国際債権団との見立てである。
今週末は、市場に悪影響を及ぼす破滅的な決断は週末に行われる、という歴史的な教訓を念頭に、資本規制やデフォルト(債務不履行)などのリスクシナリオに警戒することになる。
【今日の欧米市場の予定】
・17:00 ユーロ圏・4月経常収支(3月:+249億ユーロ)
・17:30 英・5月公的部門純借入額(除く銀行グループ)(予想:+103億ポンド)
・21:30 加・5月消費者物価指数(前年比予想:+0.8%、4月:+0.8%)
・21:30 加・4月小売売上高(前月比予想:+0.7%、3月:+0.5%)
・24:40 ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁講演
・01:45 メスター米クリーブランド連銀総裁講演
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